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ボート会場 都、IOCに安い金額を虚偽報告 

海の森水上競技場整備費内訳

「本体工事費251億円」を「98億円」と

 東京都の都政改革本部の調査チームがボート、カヌー・スプリント会場「海の森水上競技場」(東京湾岸)の総整備費が高額だとして移転を提言した問題で、都が2年前に国際オリンピック委員会(IOC)に「本体工事費は98億円」と実際より安い虚偽の建設費を伝え、開催の承認を得ていたことが関係者への取材で分かった。都の資料には本体工事費251億円、総整備費491億円と明記されている。都幹部は毎日新聞の取材に「IOCに予算が高いと指摘され、根拠がない数字を示した」と証言した。

 東京都の小池百合子知事は、提言を受け宮城県登米市の長沼ボート場への会場移転を検討しているが、海の森での開催を承認したIOCは本体工事費が高額ではないと認識している可能性が出てきた。小池知事は18日にIOCのバッハ会長と面会して移転検討の経緯について説明するとみられ、会談で認識の相違が表面化することも想定される。

 海の森の整備費は招致時に69億円だったが、2013年9月の再試算で1038億円とされた。関係者によると、IOCは整備費が当初計画の15倍超に膨れあがったことを問題視。100億円以下に抑えるよう、都に要請したという。

 都は再検討の結果、14年11月に総整備費を491億円とし、本体工事費251億円、周辺整備費86億円などとする内訳も決めた。一方、IOCには同時期に東京五輪・パラリンピック組織委員会を通じて「本体工事費は98億円で、残りの393億円は遺産(レガシー)として残る周辺の公園整備費だ」と説明、承認されたという。本体工事費を251億円とする総整備費の内訳は同年12月末、都議会の質問に答える形で公表された。

 都幹部は毎日新聞の取材に、IOCに本体工事費を事実とは違う98億円と伝えたことを認めた。その上で「IOCから『本体工事費などの大会開催経費とレガシー経費を分けて示せ』と指示があり、大会開催費として(100億円を下回る)根拠がない数字を伝えた」と説明した。

 関係者は「IOCは根拠のない数字を基に開催の可否を判断したことになる。491億円とする都の試算そのものが疑われる事態で、移転の根拠も失われてしまう」と話している。【柳澤一男、芳賀竜也】

他の施設の試算も信用できるのか 根本的な疑問生じさせる

 東京都がIOCに伝えた予算と公表している予算が異なっていたという事実は、会場移転の可否問題に発展している「海の森水上競技場」整備費の試算が信用できるのか、という根本的な疑問を生じさせる。

 都は海の森以外の整備費について、移転候補先の「長沼ボート場」(宮城県登米市)351億円、「彩湖(さいこ)」(埼玉県戸田市)558億円と公表。これらの試算もあいまいだとすれば、試算を基に会場の抜本的見直しが必要とした都政改革本部の調査チームの提言は、意味を持たなくなる可能性がある。

 海の森の整備費は招致段階以降、大きく上下している。都幹部は「観客席や付帯施設など項目別に計算して積み上げている」と説明するが、項目自体の区分が大ざっぱで、具体的な規模や経費を細かく精査したかどうかは疑問だ。

 都は海の森と同時に、整備費を11施設4584億円から8施設2241億円に圧縮した。虚偽報告が明らかになり、他施設の試算の信ぴょう性も問われる。大会に汚点を残さないためにも詳細な内訳を早急に公表すべきだ。【柳澤一男】

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