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五輪壮行会

報道公開中止相次ぐ JOC指針が背景に

兵庫県スケート連盟主催の壮行会で花束を受け取る坂本花織選手。報道陣にも公開されたが所属先が分からない服装で臨んだ=神戸市中央区で2018年1月11日、米山淳撮影

 各地で開かれている平昌五輪代表選手の壮行会で、報道陣への公開が直前に急きょ中止されるなど混乱が相次いでいる。壮行会の開催告知すら満足にできず、人が集まらないケースもあり、関係者に困惑が広がっている。なぜ、こんな事態になっているのか。【平本泰章、福田智沙/東京運動部】

    人も集まらず寂しい壮行会に

     フィギュアスケート女子代表の坂本花織選手(シスメックス)が通う神戸野田高校は、9日に壮行会を開いた。報道各社には事前に案内を出していたが、直前に非公開とした。法政大も15日にアイスホッケー女子代表の3選手の壮行会を開いたが、当日朝に公開中止を決め、報道各社に連絡した。選手の記者会見だけ公開し、続いて行う壮行会は非公開にした例もある。

     背景には、国際オリンピック委員会(IOC)の規則に従ってJOCが定めた五輪の知的財産保護の指針がある。五輪のマークや名称などを宣伝目的で利用できるのは、日本国内ではIOCのスポンサー13社と、2020年東京五輪のスポンサー47社に限られる。

    法政大が報道各社へ開催当日の朝に送った壮行会公開中止のファクス

     それ以外の企業や学校が壮行会を開く場合、内部の関係者のみの参加で非公開とする条件で許されている。一般や報道陣に公開したり、写真や動画をホームページやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に掲載したりするのは、五輪の商業利用でスポンサーの権利を侵害するとみなされ、認められていない。競技団体や選手の出身地の自治体が主催する場合には公開できるが、「企業色、商業色がない」という条件付きで、所属企業や学校のロゴなどは見せてはいけない。指針に違反すると「選手の大会資格剥奪につながる恐れがある」と記されている。

     神戸野田高の田中悟教頭(56)は「坂本さんの励みになると思ったので残念だが、坂本さんに迷惑をかけてもいけない」と話す。

     法政大はホームページに載せた壮行会の告知すら削除し、会場の前に職員が立って通りすがりの学生に参加を呼びかけた。集まったのはアイスホッケー関係者や応援団の学生を含めて100人弱にとどまった。

    企業がスポーツから撤退しかねず

     問題の指針は以前からあり、JOCから各競技団体を通じて選手の所属先に伝えられている。JOC広報・企画部の担当者は「浸透度に差があると感じている」と漏らす。JOCも一つ一つの壮行会の実情を把握しきれず、これまでは黙認したケースが多かった。しかし、20年東京五輪を見据えて指針の徹底を図っている。また、ある選手の所属先が昨年末に開いた壮行会が大きく報じられたことなどを機に、指針の再確認を呼びかける競技団体もあり、公開を控えるところが増えたようだ。

     五輪期間中に選手の所属企業や学校が開く応援行事や、五輪後の報告会も同様の扱いとなる。選手の五輪での結果や様子をホームページなどで発信することにも制約がある。

     所属選手の五輪出場は、企業や学校にはその名を広める絶好の機会のはずだ。JOCは「社員全員で応援することで得る一体感など、広告塔の役割以外についての理解を広めていきたい」と話す。しかし、スポーツマネジメントに詳しい早大スポーツ科学学術院の原田宗彦教授は「広告塔としての価値は支える側の最大のメリット。業界のルールで縛っていてはスポーツ産業は大きくなっていかない」と話し、選手の受け入れから撤退する企業が出ることも懸念している。

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