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ともに・2020バリアーゼロ社会へ

毎日ユニバーサル委員会 第3回座談会 東京五輪・パラへ、平昌の教訓生かせ(その2止)

活発な意見が交わされた「毎日ユニバーサル委員会」の第3回座談会=東京都千代田区のパレスサイドビルで2018年4月6日、宮本明登撮影
川内美彦氏

 ◆紙面について

    川内氏 レガシー報道を/桜井氏 超人的な姿、積極的に

     小松主筆 毎日新聞としてパラリンピック報道にどう取り組んだのか説明させてください。

     神保忠弘運動部長 かつてパラリンピック報道は完全に福祉記事で、主にスポーツ面ではなく、社会面で扱っていました。1998年長野冬季パラリンピックの頃から徐々に意識が変わり、競技としての側面にもっと注目していこうとスポーツ面での扱いも増えました。今回もスポーツ競技大会としての報道が主になっています。ただ、パラリンピックと五輪が全く一緒かというとそこは違うのではないかとも考え、バリアフリーの課題などパラリンピック独自の視点を持った記事も書くことが今回の一つのテーマでした。

     小松主筆 実際に現地で観戦した桜井委員は、新聞報道をどうご覧になりましたか。

     桜井委員 大会では、視覚障害者のバイアスロンなどに、スポーツや人間の可能性というものを強く感じました。そのような超人的な姿を純粋にスポーツとして楽しむということを、より強く打ち出していかなければならないと思います。そういう記事をスポーツ面で積極的に取り上げていただいていることは大変良いことです。

     川内委員 五輪・パラリンピックが終わった後で、レガシーで社会がどう変わったかを知りたい。毎日新聞(17年4月18日付朝刊「月刊五輪」)でリオの競技会場が荒れ果てているという現地リポートがありましたが、現地で定着していないスポーツを五輪・パラリンピック競技として無理やり実施し、その後は誰もやらなくなるのはよく起きること。しかし、そういうネガティブな面だけでなく、例えば多くの人がボランティア活動にいそしんだり、社会基盤が充実したりしたことの社会への影響などポジティブな面もあります。障害者スポーツを見たり、障害者に接したりしたことで、物の考え方としてのレガシーがどう残り、社会がどう変わってきたかをリポートしてもらうと、大会開催の効果が市民にも実感しやすいと思います。

     今里氏 20年までに障害者のスポーツ大会は数多くあります。せっかく今は障害者スポーツに目が向いているのだから、いったん関心が薄れてしまって東京大会で再び盛り上げるのではなく、つなげていっていただきたい。スポーツ庁はスポーツの「する」「見る」「支える」の振興に取り組んでいますが、「見る」の部分で新聞のスポーツ面は、こういうすごい競技でこんな活躍をしている選手がいるんだよ、と訴えかけます。「する」では、子供たちを実際にやってみようという気持ちにさせ、どんな場でできるかなどを取り上げてほしい。「支える」では、障害者スポーツの競技団体などは資金的に脆弱(ぜいじゃく)なケースも多いので、課題をどう解決していくべきかを取り上げていただくとうれしいです。

     ◆キャンペーン

    河合氏 議員秘書に障害者、義務化しては

    河合純一氏

     小松主筆 パラリンピック報道以外にも、弊紙では「ともに2020」キャンペーン報道を続けております。前回の座談会以降の報道内容をご説明し、皆さんからご意見をいただきたいと思います。

     砂間裕之・編集編成局総務 障害を持っている議員をクローズアップし、昨年12月から紙面展開してきました。障害者差別解消法は行政などに合理的配慮を求め差別をしないようにうたっていますが、三権分立に配慮して国会と裁判所は例外になっていることを正面から取り上げました。国会の議員会館のバリアフリーを検証したのが第1弾。また、障害のある地方議員がどれくらいいるのか独自に調査しました。国内で身体に何らかの障害を持っている方は3%程度いるが、議員の数でみると0・2%程度になってしまう。これはやはり少ないのではないか。なぜ障害を持つ議員の数が多い方がよいかというと、当事者の声をうまくすくい上げて直接的に行政へ反映させられることが大きいと考えています。新聞報道で障害のある方の議員活動は、今までほとんど取り上げられていない。こういうところから行政に風穴を開けていくことは非常に重要だと考えています。

     河合委員 議員に障害者が少ないのはよく分かっていますが、そもそも日本は女性議員も少ない。障害があるから少ないのか、そういうところも含めて課題を考えた方がいいと思います。また、障害のある議員の報道量が少ないのは、選挙の公平性の問題があるのではないか。障害があるだけで報道量を増やすのは、他の議員からすると「それはおかしいのでは」という声があるのでしょう。

     桜井委員 議会の設備の整備が遅れているのは、議員に障害のある方が少ないから必要性を感じなかったのか、その逆なのか分かりませんが、いずれにしてもしっかり整備していく必要がある。その際に、三権分立というのはそこに国が成り立っている仕組みなので、やはり自立的に、自らの責任で整備していく意識を持っていただくことが大事だと思います。

     河本委員 私はソフト面にも何らかの働きかけをしてほしいと思います。聴覚障害など対面しただけでは障害をお持ちだと分からない方が、どのような配慮を必要としているのか意識を喚起していくようなことを、記事の中で訴えていただきたいです。障害を持つ議員の数を増やすという数値目標を持つよりも、議員会館でもそうですが、一緒に働くスタッフに障害のある方が含まれるということがもっとあっていいと感じます。そういう相互理解を深めるアプローチがあってもいいのではないでしょうか。

     河合委員 現在、国会議員は国費で3人の秘書を置くことができますが、「第4秘書」に必ず障害者を入れるという制度を作ったら面白いかもしれませんね。約700人の障害者雇用を生み出します。

    今里譲氏

     今里氏 障害を持った方が議員本人になるのが一番分かりやすい話ではありますが、住民の代表である議員に障害者への理解を深めてもらうことが必要だと思います。今はそれが全然足りていません。

     小松主筆 たくさんの「宿題」をいただきました。皆さんからの提言を踏まえ、20年東京五輪・パラリンピックだけではなく、それに至る過程も「ともに2020」キャンペーンに含め、紙面作りに生かしていきたいと思います。ありがとうございました。


     ■人物略歴

    かわい・じゅんいち

     早稲田大卒。先天性弱視で15歳で全盲に。パラリンピック競泳で金5個を含む計21個のメダル獲得。43歳。


     ■人物略歴

    かわうち・よしひこ

     横浜国大大学院修了。工学博士、1級建築士。工業高専在学中にスポーツ事故がもとで車いす生活に。64歳。


     ■人物略歴

    いまさと・ゆずる

     東大卒。1985年文部省(現文部科学省)入省。日本スポーツ振興センター理事などを経て2017年7月から現職。57歳。

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