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「次の道も”金”を」 引退の吉田沙保里にねぎらいの声 パワハラ騒動で心痛も

レスリング女子で初の金メダルを獲得した吉田沙保里さん=2004年、尾籠章裕撮影
レスリング女子55キロ級で五輪3連覇を果たし日の丸を掲げ喜ぶ吉田沙保里=ロンドンのエクセルで2012年8月9日、西本勝撮影

 女子レスリング界の先頭を歩いてきた吉田沙保里(36)が8日、現役引退を表明した。2020年東京五輪での5大会連続メダル獲得に向けて動向が注目されていたが、マットを去る決断をした。関係者によると、昨年12月には周辺に引退の意向を伝えていた。背景には後輩の成長に加え、レスリング界のパワハラ騒動による心痛もあったとみられる。

 昨年12月、東京・駒沢体育館で開催された全日本選手権を欠場し、解説で会場を訪れた吉田は福田富昭・日本レスリング協会会長と高田裕司専務理事に引退を報告。8日には東京都内の日本協会事務所を訪れ、「引退します。3歳で始めて33年間頑張りました」と晴れやかな表情であいさつしたという。

 五輪4連覇が懸かった16年リオデジャネイロ五輪。吉田は決勝で敗れ、マットに突っ伏し、肩を震わせて泣いた。年齢的に疲れが抜けにくくなり、故障も増えていた。3歳の時から指導を受け、タックルを授けてくれた元全日本選手権王者の父栄勝(えいかつ)さんは、14年に61歳で病死。最大の心のよりどころを失ったことも響いた。

 リオ五輪後、進退は明言せず、拠点の至学館大(愛知)で練習を続けたが、試合からは遠ざかった。自らの希望でタレント活動も精力的にこなし、東京と行き来する生活だった。

 その間の17年8月の世界選手権で、後輩たちがメダルを獲得した時は、自身のツイッターで祝福。母幸代(ゆきよ)さん(64)には、「いつまでも、おばちゃんに負けていては駄目」と喜びを伝えていた。高田専務は「まだまだ練習すれば吉田は強いが、後輩たちが成長したことも引退を決めた要因の一つだろう」と胸中を察した。

レスリング女子55キロ級決勝 中国の許莉を破り金メダルが確定した瞬間、叫び声をあげる吉田沙保里=中国農大体育館で2008年8月16日、矢頭智剛撮影

 また、昨年のレスリング界のパワハラ騒動も吉田を苦しめた。言動の責任を問われ、日本協会の強化本部長を辞任した栄和人氏(58)は吉田の恩師だった。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上では栄氏と歩みを共にしてきた吉田を中傷する書き込みもあった。高田専務は「『おまえも同罪』というような目にさらされ、吉田は嫌気が差し、口を閉ざしていた」と振り返った。

 吉田は引退を報告した自身のツイッターで「改めてみなさんの前で引退のご報告と感謝の気持ちをお伝えしたいと思います」とつづった。福田会長は「偉大なるチャンピオンだった。東京五輪に向けて頑張ってほしかったが、彼女には彼女の道がある。次の道でも金メダルを取ってほしい」とねぎらった。【藤野智成】

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