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幸せな老後への一歩

/592 自分でやると、かなり面倒な「墓じまい」!=荻原博子

経済評論家の荻原博子さん=中村藍撮影

 お盆で田舎に帰り、先祖の墓の前で手を合わせてきたという人も多いことでしょう。今は両親が元気で墓を守っているけれど、両親が亡くなってしまったら、わざわざ東京から墓参りのためだけに帰郷することになり、どうしようかと思った人もいるのでは。

     また、墓がある以上は墓地管理料も支払わなくてはならず、それを何年も滞納すると「無縁墓」ということで、最悪の場合には撤去されてしまうかもしれません。

     2009年に第一生命経済研究所が全国の男女約600人を対象に行った調査では、50・3%の人が、「自分の墓は、いつかは無縁墓になる」と答えていて、4・1%の人は「近いうちに無縁墓になる」と答えています。

     さらに今年1月に『中日新聞』が行ったアンケートでは、公営墓地を持つ全国の政令指定都市と県庁所在地など計73自治体のうち、「無縁墓」を抱えている自治体が約7割にのぼることがわかっています。

     こうした中で注目されているのが「墓じまい」。これは古いお墓を撤去して、遺骨を新しい供養先に移すことです。

     言葉で書くと簡単に思えますが、実はかなりめんどうな手続きや交渉などが必要となります。

     まずは墓地埋葬法に基づいて行政手続きをします。遺骨の移転先の受け入れ証明書と、墓の改葬許可申請書、埋葬証明書を、現在の墓を管轄している自治体に提出し、改葬許可を得ねばなりません。

     移転先では新たに墓を建てなくても、最近は永代供養墓といって、お墓参りをしなくても墓地の管理者が永久に供養と管理をしてくれるお墓が出てきているので、忙しい方は、こうしたものを利用するといいでしょう。

     また、住まいのすぐ近くに自分で墓を建てるというのもいいかもしれません。ただ、墓というのは許可を取らなくてはならず、やたらなところに建立することはできない。寺など、あらかじめ決められた場所に建てるので、場所を探すのが一苦労。

     墓石の撤去や整地は、一般的に1平方メートル10万円程度からと言われ、それほど安くはありません。墓石の値段も、ピンキリ。建設も、重機が入らないお墓が込み合った場所だと、そのぶん費用が高くなります。

     こうして移る先ができたら、古い墓の魂を抜く供養をしてお布施を払い、墓が菩提(ぼだい)寺にある場合は、檀家を離れるための「離壇料」が必要となります。離壇料の相場は、通常は3万円から10万円程度。さらに、新しく移った先には納骨料などを支払います。

     実は最近、「墓じまい」をする人が増えているため、複雑な「墓じまい」を、一律料金で代行する業者も出てきています。

     インターネットで「墓じまい」と引くとさまざまな業者が出てきて、価格はパックで20万円から40万円といったところ。もちろん、これはお墓のお引っ越し料金で、新しくお墓を建てるとなると、ここにさらに墓石代などがかかります。

    「地獄の沙汰も金次第」と言いますが、墓は移せないし墓参りにも行けないという人のためには、「墓参り代行サービス」も。青森市や山口県周南市などいくつかの自治体では、「ふるさと納税」のサービスで「墓参り代行」が。

     こうした状況を見るにつけ、私は「千の風になってしまいたい!」。


    おぎわら・ひろこ

     1954年、長野県生まれ。経済ジャーナリスト。難しい経済と複雑なお金の仕組みを、テレビ、雑誌、新聞で分かりやすく解説することに定評がある

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