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泉鏡花文学賞:千早茜さんが受賞 正直な小説を書きたい

2009年12月16日

tihaya.jpg 昨年の小説すばる新人賞(集英社主催)に選ばれ、今年1月に単行本が出た。そのデビュー作の長編『魚神(いおがみ)』(同社)で田辺聖子さん、丸谷才一さん、山田詠美さんらそうそうたる作家が受賞者に名を連ねる泉鏡花文学賞(金沢市主催)を受賞する快挙を成し遂げた。デビュー作での受賞は37回の同賞で初めて。

 北海道出身の30歳。父の仕事の関係で小学校1年から5年までザンビアで暮らす。立命館大卒。京都市在住。「一つの目標でもある賞だったが、まさかこんなに早くいただけるとは」と喜びつつ、大きな重圧も。「一発芸になると恥ずかしい。賞にふさわしいように成長しなければ」

 『魚神』はどことも知れない島が舞台。美しい捨て子の姉弟は支え合って生きてきたが、姉は遊郭に売られ、弟は陰間になる。ヘドロのにおい、遊女屋街、獏(ばく)や雷魚の伝説が彩る世界で、姉弟2人がお互いを求める妖(あや)しい物語を描いた。

 「寺山修司の詩に触発され、冷たい二つの魂が寄り添いあうイメージがあった。最初は詩を書いたけれど、詩では表現できず、物語になっていった」

 幼いころから文字を書くのが好きだった。母から日記帳をもらったのが2歳の時。まだ字が書けないため口述だった。字を覚えてからは母が添削してくれた。今でも日記はつける。ふと浮かんだ事柄やイメージはとにかく紙に書きつける。それを清書し、散文や詩のようにつづった「感情ノート」がある。さらに論理的に考えたことを「思ったこと帳」に記す。身の回りには常に紙がある。

 「正直な小説を書きたい。自分が許せないこと、見たくないものなど今の自分を全部記録して、そういう自分を見つめる過程で物語が生まれるんです」【内藤麻里子】

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