大学倶楽部・大阪国際大

リンゴの花復活を 学生らが奈良県吉野町の休耕地に苗木3本植樹

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開拓者の苦労がしみこんだ耕地にリンゴの苗を植える大学生たち 拡大
開拓者の苦労がしみこんだ耕地にリンゴの苗を植える大学生たち

 限界集落となった開拓村にリンゴの花を復活させようと、奈良県吉野町小名の殿川地区の休耕地に、大阪国際大の学生、地元の人らが苗木3本を植えた。30年前まで盛んに作られ、地区の名物だったリンゴの赤い実、春の白い花の印象は今も住民の記憶に鮮明だ。今年は開村70年。リンゴに地域活性化の願いを込める。

 殿川地区はなだらかな山並みの中の村。戦後の1947年、引き揚げてきた人や都市の被災者らが入植して水田を開き、リンゴ、梨などの果樹も植えた。31戸が定着し100人近い人が生活していたが現在は10戸11人にまで減少。観光客も来たというリンゴなどの果樹園は後継者不足で手間がかからない杉やヒノキ林に代わった。

 元町地域おこし協力隊員で殿川に移住した電気工事業、吉村耕治さん(40)と町国栖地域集落支援員、寿代さん(42)夫妻と同大の田中優准教授(地方自治論)が知人の紹介で知り合い、ゼミの学生が昨春から全戸で聞き取り調査。学生がリンゴ栽培を知り、1月の報告会で住民に復活を提案した。

 植樹には住民も参加。15年前、「田舎暮らし、畑仕事ををしたい」と奈良市から移住した小笠原秋継さん(77)、美佐子さん(76)夫妻は「移住してきた当時は隣家がリンゴを栽培していた。花に夕日が当たるときれいだった。赤い実もきれい。楽しみだ」と言う。

 学生の4回生、佐藤寿喜さん(21)は「昔の風景を少しだけでも取り戻したい」と意気込む。リンゴが実を付けるのは3、4年後だ。【栗栖健】

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