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大学倶楽部・神戸大

講堂の壁画下絵を米の美術商が寄贈 OBの洋画家・中山正実氏作、76年ぶり帰郷

神戸大講堂の壁画3部作の一つ「雄図」の下絵を寄贈したエンゲルさんと妻の理佐さん、娘の摩耶さん
神戸大に寄贈された下絵の裏書き

 神戸出身の洋画家・中山正実氏(1898~1979年)が神戸大学(神戸市灘区)の講堂に描いた壁画「雄図」の下絵がこのほど、米国在住の美術商、クリス・エンゲルさん(40)から中山の母校の同大に寄贈された。下絵の裏に「国益のため手放し愛惜に堪えない。安住の所を得たらすぐ知らせてほしい」と書かれ、エンゲルさんは「中山さんに縁のある所へ返すことができてうれしい」と話した。裏書きの日付は太平洋戦争開戦直前の41年秋で、76年ぶりの帰郷となった。

     中山氏は神戸高商(現神戸大)を卒業後、東京の川端画学校で藤島武二に師事した。21年に帝展初入選を果たし24年に渡欧。パリの美術展で認められイタリアで壁画を研究した。27年に帰国し5回連続で帝展に入選したが、32年に旧制神戸商大(同)の依頼で図書館壁画「青春」の制作に専念。35年の完成直後に講堂の壁画3部作(雄図、富士、光明)に着手し38年に作り上げた。

     壁画「雄図」(縦5・3メートル、横3・5メートル)は、丸腰で馬に乗り、険しい山々を越えようとする青年たちを描いている。神戸大によると、かつて講堂で入学式や卒業式が行われ、中山は後輩に向けて「苦難を乗り越えて勇敢な青年になってほしい」との意味を込めたという。寄贈の下絵(縦66・5センチ、横42・5センチ)の右下に、同大所蔵の「青春」の下絵と同じ落款が確認された。

     裏書きについて、同大文書史料室の野邑理栄子特命専門員は「日中戦争から太平洋戦争にかけて、美術界から国に作品の献納が行われた。中山画伯は裕福で生前ほとんど絵を売らなかったと聞くが、意に反して手放さざるを得なかったのかもしれない。下絵は日本絵画の歴史を知る上でも貴重だ」と話す。

     エンゲルさんと西宮市出身の妻理佐さん(43)は2007年ごろ、裏書きのある下絵をインターネットオークションで購入した。リビングに飾って楽しみながらも、「メッセージが気掛かりだった」とエンゲルさん。「売る機会はあったが、元の場所に戻す義務があると感じていた。正しい選択ができたと思う」。下絵は修復後、9月ごろ壁画の横に飾られる。【松本杏】

    神戸大

    公式HP:http://www.kobe-u.ac.jp/
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