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大学倶楽部・神戸大

7年目の被災地・人生設計厳しく 東大などと釜石5年間の研究復興意識調査

アンケート結果について報告する平山洋介・神戸大教授(壇上右)と佐藤岩夫・東京大教授(同中央)=8月26日撮影

 東日本大震災で被災した岩手県釜石市民延べ約5500人に対し神戸大学、東京大学などの研究者が毎年実施してきたアンケート「暮らしと復興の意識調査」の結果報告会がこのほど、同市であった。半数以上が震災前の土地に戻れず、過去5年間で暮らしの設計がますます見通せなくなっていることなどが浮き彫りとなった。長いスパンで復興施策を見直すことの必要性が報告された。

     被災者や市関係者ら約80人の参加者は熱心に聴き入っていた。

     アンケートは2011年夏から16年春の5回、仮設住宅やみなし仮設(民間借り上げ住宅)、災害公営住宅(復興住宅)の約2500~4000世帯に配布・郵送で実施。有効回答は約600~1700票で、回答率は22・5%~41・6%だった。

     平山洋介・神戸大人間発達環境学研究科教授は経年変化に着目した。世帯分離や高齢化、無職化が進んだほか、世帯収入は年300万円未満が大半と指摘。5年間の復旧・復興の中で、(1)被災者の半数以上が災害危険区域になった震災前の居住地に戻れない(2)約半数が震災前に所有した土地を売却した(3)持ち家(戸建て)再建を希望する世帯が年々減少し、復興住宅希望者が増えた--と分析した。

     平山教授は「震災は、過去と現在、未来がつながっていた人々の人生設計を不透明なものにした。住まいの再生は仕事と並んで重要。今後20年といった長い時間軸で、住宅ローン(二重ローン)や住宅再建補助(公的支援)など持ち家再建施策を見直し、復興住宅では見守りの仕組みを継続することが大切」と指摘した。

     一方、佐藤岩夫・東京大社会科学研究所教授は自由回答欄に注目した。将来の見通しがつかないことへの不満が強く、高齢者は生活・健康面に若者は雇用に課題を持っている反面、希望は住宅再建の見通しや家族、仕事、近隣との交流など個別・多様化していると分析。「復興制度のはざまで人々の生活が破壊されてきた。個人の生活や集落再生の議論を記録することが、少子高齢化が進む全国の持続可能なまちづくりを考えることにつながる」と訴えた。

     釜石市と東京大社会科学研究所は昨秋、共同で危機対応研究センターを開設。津波の記憶継承と危機に対する方策を全国に発信する狙いで、今回の暮らしと復興の意識調査結果もホームページなどで公表する。【中尾卓英】

    神戸大

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