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大学倶楽部・大阪教育大

教員が著作権の知識向上を 関西3教育大が志望学生向け講座

教育現場での著作権利用についての遠隔授業で、スクリーンの向こうの学生に向かって語りかける久保田裕さん

 学校には、作文や絵など、子供の「著作物」があふれている。また、人気のユーチューバーのように歌や動画を子供がインターネットに配信することも簡単で、教員にとって著作権の知識の必要性は高まっているが、授業での利用は著作権法の例外として認められるため、無自覚になりがちだという。教育現場での著作権利用に必要な内容を学ぶ「教育著作権検定」が2月に始まり、大阪、京都、奈良の3教育大学が教員志望の学生向けの特別講座を実施した。

     ●作文の題、勝手に変えては×

     「車を買う時、ハードウエアとソフトウエアのどちらにお金を支払っていると思う?」。14日、大阪教育大の講義室。講師を務めたコンピュータソフトウェア著作権協会の久保田裕専務理事が、スクリーンの向こうの学生に語りかけた。答えは「半分はソフト」。車にはすでに制御ソフトが使われており、ソフトは付加価値が高いためという。

     講座は、特別講座を行う3大学をテレビ会議システムで結び、リアルタイムの遠隔授業として行われた。著作権には、「許可なくコピーされない」(複製権)、「無断で改変されない」(同一性保持権)などの権利が含まれるといった基本的な解説があったほか、実際に学生らに検定の模擬問題を解かせた。

     検定の問題は「生徒が書いた作文の題を教員が勝手に変えると、同一性保持権を侵害するか」「アサガオの観察日記で、茎の長さなどを記録したデータは著作物か」など、教師が学校の授業の中で具体的に遭遇するような事例も出された。久保田さんは「教育上必要がないのに、作文の題を勝手に変えると、権利の侵害になる可能性が高い」「データは著作物ではない」などと説明した。

     講座の企画者の一人、大阪教育大学の片桐昌直教授(総合基礎科学専攻)によると、同大で著作権に関する講義は2種類しかなく、いずれも必修ではない。京都教育大学も似た状況で、多くの学生は、著作権を学ばないまま教員になるという。片桐教授は「今の状況では教員になってから学生が困る。何か学習の目標があるとよい」と考えていた。今回、山口大学で特命教授として著作権について指導にあたる久保田さんらとの連携が実現し、教育著作権検定を始めることになった。

     片桐教授は「著作権は学生にとって身近で関心は高い。現代の常識として身につけてほしい」と話す。通常の講義でも「路上ライブは権利侵害にならないか」「塾で、ドリルを印刷して配ってもいいのか」など、学生から多くの質問が寄せられるという。久保田さんは「これからの教員は、情報社会の特性を知り、どのような教育が良いか考えることが大切だ。著作権法を知らないとその議論もできない」と強調した。

     ●子供の作品は「著作物」

     社会科の教員を目指す京都教育大学3年の杉山和保さんは、教育実習先の小学校で児童に配るプリントを作る際、「このイラストを使っていいのか」などと不安になったことがあり、教育現場で必要な著作権の知識を身につけることが必要だと感じていた。特別講座で、検定の模擬問題を見て、「具体的な場面が想定されていて勉強になりそうだ」と話す。教員は、教育上必要であれば、子供の作品に手を入れるのが普通だ。杉山さんは「自分が小学生の時は、直されて当たり前だと思っていた。教員になったら、子供の作品を損なわないように修正したい。考え方の幅が広がった」と学習の成果を実感していた。

     著作権法には、作者に許可を得ずに作品などを複製できる場合として、学校の授業や試験問題での利用を認めた規定がある。杉山さんを指導する比良友佳理(ひらゆかり)講師(知的財産法)は「授業は例外になるとはいえ、学校には行事や課外活動など授業以外の場面もあり、知らないと判断に悩まされるのではないか」と心配する。また、大学院で現職の教員らを教えるなかで「中途半端に知っているために、怖がって著作物の利用に萎縮してしまうケースもある」ことにも気づいたといい、「(どんな利用が可能か)正確なボーダーラインを知るために検定が適している」と指摘した。

     検定は、教育機関や企業から申し込むと、校舎などでいつでも実施できる。運営はサーティファイ社(東京都中央区)で、検定料は1人5000円。検定は受検する人が1人でも実施してもらえる。片桐教授らは教員研修や採用試験などでの導入を働きかけていきたいとしている。【岡礼子、写真も】

    大阪教育大

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