メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

大学倶楽部・横浜国立大

非常勤講師の高野さん 障害武器に研究の道へ 自分の経験から課題探る 

動かすことのできる両手を使って研究を進める高野さん

 中学時代のプール事故で肢体不自由となった男性が、障害者としての自身の経験を生かし、障害児者の教育について研究を深めようとしている。東京学芸大大学院博士課程を今春修了した、高野陽介さん(30)だ。「障害がある自分だから踏み込める研究がある」。4月からは横浜国立大で非常勤講師をしつつ、研究の道を歩んでいる。

     高野さんは東京学芸大大学院の連合学校教育学研究科に在籍中、横浜国立大に配置され、同大の泉真由子教授の研究室で約8年間にわたって特別支援教育の研究を進めてきた。特に焦点を当てたのは、肢体不自由児者が高校に入学し、学校生活を送る際の課題。自身の経験からテーマを絞った。

     高野さんは中学3年の夏、学校で水泳大会の練習をしていて事故に見舞われた。飛び込んだ時にプールの底に頭を衝突。頸椎(けいつい)を損傷し、首から下の体が両手以外、動かなくなった。

     それでも「高校に行きたい」という思いから進学を目指し、地元の県立高校に入学。車椅子で介助を受けながら授業に参加した。「健常者の中で過ごすことで関わり方を学べた。健常者と共に社会で暮らしていく上で、重要な時間だった」と高校生活を振り返る。

     ただ、入学が可能になったのは、母親による送り迎えと付き添いという条件を実現できたから。障害児者に対する教員の理解も、入学につながった。

     高校から大学に進学し、卒業後の進路を考える中で望む高校に入学できなかった障害児者の存在を知り、「自分は恵まれていた」と痛感した。「障害のある子どもの後期中等教育(高校段階の教育)の可能性を広げるために、研究で役立ちたい」。大学院に進んだ。

     修士課程では自身の高校生活を研究対象にして、学校側の受け入れ態勢の問題や同級生の障害者に対する意識などを調査した。博士課程は、全国の自治体の教育委員会や高校、障害児者団体へのインタビュー調査などを通し、肢体不自由児者の高校進学や学校生活における課題を検討。当事者として抱いた問題意識も大事にしながら、論文をまとめた。

     「障害があるからこそできることを、自分の武器にしていきたい」。研究の道はこれからも続く。【宇多川はるか】

    横浜国立大

    公式HP:http://www.ynu.ac.jp/
    所在地:〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-1
    電 話:045-339-3016

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 記者不明 「皇太子命令取り違え、将軍が殺害で収拾」報道
    2. 富田林逃走 樋田容疑者、窃盗数十件を捜査へ 大阪府警
    3. 「10・19」30年 旧川崎球場にファンら200人
    4. 女の気持ち 命日のサンマ 札幌市中央区・堀川真弓(無職・68歳)
    5. 皇后さま84歳 陛下と静かに心豊かに 探偵小説楽しみに

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです