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大学倶楽部・上智大

社会科学研究による「人間の安全保障」を 研究所キックオフ・シンポジウム開催

開会あいさつに立つ江馬副学長
基調講演を行うアルダバ氏
パネルディスカッションに臨む山形氏(左から2人目)、滝澤氏(同4人目)

 上智大学の「人間の安全保障研究所キックオフ・シンポジウム」が6月28日、四谷キャンパス(東京都千代田区)で開かれた。「社会科学研究を通した『人間の安全保障』実現に向けて」と題し、議論を交わした。

     同大は文部科学省に採択された「私立大学研究ブランディング事業」として、「人間の安全保障」に重点的に取り組んでいる。安全保障の焦点を国家から個々人へと拡大し、感染症や災害、紛争、飢餓、環境破壊などに包括的に対処することを目指す概念だ。

     シンポジウムでは、江馬一弘・学術研究担当副学長が冒頭で「貧困、環境、教育、倫理という現在の世界が直面している四つの課題を解決することが、全世界のイエズス会系大学の共通理念だ。その使命を果たすため、人間の安全保障に取り組んでいく」とあいさつした。

     続いて、アテネオ・デ・マニラ大学のフェルナンドT・アルダバ社会科学部長が「フィリピンとアジアにおける人間の安全保障上の重要課題に対する社会科学の貢献」というタイトルで基調講演を行った。アルダバ氏は2007年に東南アジアを襲った金融危機を例に、「この時点で問題分析や再発防止策が的確に検討された結果、翌年のリーマン・ショックでは東南アジアでの被害を抑制できた」とし、社会科学が果たすべき役割の大きさを示した。「社会学者はもっと現場に出るべきだ。そして学生の皆さんはぜひ社会科学を学び、人間の安全保障にどう貢献できるかを考えてほしい」と訴えた。

     後半のパネルディスカッションでは、国際協力機構(JICA)人間開発部次長の滝澤郁雄氏、国際開発学会会長でアジア経済研究所開発研究センター上級主任調査研究員の山形辰史氏と、人間の安全保障研究所の研究員が登壇した。

     滝澤氏は「自然科学と社会科学の結節点である公衆衛生は、研究成果を応用しやすい分野だが、それだけで健康を改善するには限界がある」とし、研究する側と研究成果を使う側の双方の人的スキル向上、エビデンス(証拠)を効果的に出すためのコストのかけ方、意思決定の時間をいかに短縮するかという問題を解決する必要性を強調した。

     山形氏は今年上半期に500人のイエメン人が韓国の済州島に逃れ、難民申請をした事実を挙げ、「日本も難民受け入れを真剣に考える時期に来ている」と指摘。「『恐怖からの自由』を推進するために、社会科学の貢献が求められている」と締めくくった。

     会場には学内外の大学生や高校生など150人以上が詰めかけ、「フィリピンのストリートチルドレンの問題はどうなっているか」「貧困、保険などのカテゴリーのはざまに落ちてしまう問題はどう解決すべきか」などと質問するなど、熱心に耳を傾けていた。

    上智大

    公式HP:http://www.sophia.ac.jp/
    所在地:〒102-8554 東京都千代田区紀尾井町7-1
    電 話:03-3238-3179

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