メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

大倉元宏・学部長が取り組む駅ホームの転落防止策--成蹊大理工学部システムデザイン学科

写真=防音半無響の実験室

 交差点の縦方向は「カッコー」、横方向は「ピヨピヨ」など2種類の音で横断する方向を視覚障害者に知らせる音響式信号機。縦方向に前進する「カッコー」の場合、横断歩道の手前側と向こう側の2カ所から交互に「カッコー、カッコー」と鳴き交わすように音が流れることで、渡る方向が2カ所の音の位置ではっきり分かる仕組みだ。ところがこの音響式信号機の音源に向かって左右どちらからかノイズが発せられると、ノイズとは反対の方へ曲がってしまい直進できないという特性が、視覚障害者にはあるそうだ。

     こうした現象について岡山県立大学の田内雅規さんと「左右の耳のマスキング差が視覚制限下における方向判断に及ぼす影響」(視覚リハビリテーション研究第5巻2015年)と題した研究論文を発表したのは、人間工学が専門の成蹊大学理工学部教授の大倉元宏さん(64)だ。

     大倉さんは音だけに頼るのではなく、歩道上にある誘導ブロックのように、横断歩道の中央に突状のタイルを敷き詰めるエスコートゾーン(道路横断帯)の開発や視覚障害者ホーム転落事例データベースの公開にも取り組む。

     「東京メトロの説明では昨年8月、銀座線の青山一丁目駅のホームから転落して亡くなった視覚障害者は『直前に反対側に来ていた電車の音を聞いて電車に乗れると思ったようです』ということでした。地下鉄のような反響音のあるところでは音の方向が正しく認識できないことがしばしば起こります」

     研究室の隣には、外部の騒音を遮断して、道路上などの音環境を再現できる実験室がある=写真。その中で左右からホワイトノイズなどを流して、視覚障害者がどれだけまっすぐに歩けるかを調べている。駅ホームの再現では、ホームの反対側に通過電車があると、被験者は次第に逆側に寄り始めるのが分かる。音響による誘導を可能にする超指向性のあるスピーカーの応用も実験中だ。【岩下恭士】

    ◆動画=視覚障害者の歩行特性事例

    <おわび>

     掲載した「私も委員を務める国土交通省では駅のホームドア(可動式ホーム柵)設置が喫緊の課題と考えています。ロープ式の簡易柵なら見通しもよく、低コストなのでより設置が容易と考えています」について、大倉先生から以下のような指摘がありましたので訂正しておわびします。

     「ロープ式の簡易柵なら見通しもよく、低コストなのでより設置が容易と考えています」の部分は、ロープ式の簡易柵を肯定している意味合いに取れます。私はロープ式は,ユーザーから見て、まだまだ問題が多いと考えています。

     私は、「可動式ホームドア」が基本で、「ロープ昇降式」はやむを得ない場合に限るべきかと思っています。