メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

活字を読み上げる眼鏡型端末--東京のベンチャーが開発

写真=「OTON GLASS」プロトタイプ

 ベンチャー企業「オトングラス」(東京都港区)は、印刷物に書かれた文字を認識して読み上げる眼鏡型の端末「OTON GLASS(オトングラス)」のプロトタイプ(試作品)=写真=を開発し、4月8日から金沢21世紀美術館(金沢市広坂)のデザインギャラリーで公開中だ。オトングラスは、活字を読むのが難しい学習障害者や視覚障害者らが、いつでもどこでも音声でリアルタイムに文字を確認できる。

     2014年8月に同社を創立して代表取締役に就任した島影圭佑さん(25)が、オトングラスを開発したきっかけは、父親が脳梗塞(こうそく)に倒れて、読字障害(ディスレクシア)になったことだった。文字は見えていても意味が理解できないが、音声なら聞いて分かることからOCR(光学式文字認識)で読み取った文字を読み上げ音声合成(TTS)で読み上げさせることを考えた。製品名の「オトン」は関西弁の父親と「音」をひっかけた。開発に当たっては、革新性の高い製品で起業を志すベンチャーを支援するNTTドコモ・ベンチャーズなどの資金援助に支えられた。

     プロトタイプは眼鏡部分を3D(3次元)プリンターで造形し、たばこ2個分ほどの大きさの制御用マイコンには電子工作で一般的なラズベリーパイ、音声認識にはグーグルの言語処理技術、そして音声合成にはアマゾンのTTSなど、各社が接続仕様を公開しているオープンAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)技術をフルに活用した。屋外などモバイル環境でも使いやすいように、音声はイヤホン出力だが、将来的にはブルートゥースなどワイヤレスイヤホンにも対応させたいとしている。

     オトングラスの操作は、眼鏡左側の弦(つる)にある二つのボタンを押すだけ。前側が日本語、後ろ側が英語モード。グーグルの翻訳技術を用いて、英語の印刷物を日本語で読み上げさせたり、逆に日本語を英語で読ませることも可能だ。

     実際にオトングラスを装着して試してみた。目の前に40センチほど離して印刷物を持ち、スタートボタンを押すと、5秒ほど処理中を知らせる警告音が流れたあと、流ちょうな日本語で文書の読み上げが始まった。利用できる印刷物は大きさを問わず名刺やカードの文字も読み上げる。

     金沢21世紀美術館での展示は、7月23日(日)までで、午前10時から午後6時(金、土曜日は午後8時まで。月曜休館)。また6月13日から18日まで、オトングラスを装着して美術館内を見学する体験・評価ツアーも実施する。ツアーは90分程度。定員は各回先着3人(18歳以上)。参加無料。申し込みは電話076・220・2801の同館学芸課。【岩下恭士】

    ◆動画:OTONGLASSのデモ