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ユニバ・リポート

<音声ガイド>映画「ブランカとギター弾き」--人気声優がUDCast用吹き替え

写真=シネスイッチ銀座で開かれた音声ガイド付き上映イベントに登場した新田恵海さん

 東京都心のミニシアター、シネスイッチ銀座(東京都中央区)で7月29日からロードショー公開が始まった映画「ブランカとギター弾き」(長谷井宏紀監督)で人気声優が視覚障害者向けのUDCast(ユーディーキャスト)方式音声ガイドの日本語吹き替えに挑戦して話題を呼んでいる。映画館で上映される洋画の場合、日本語字幕で邦訳のセリフを表示するのが一般的だが、原語になじみが無く、字幕表示も見えない視覚障害者は楽しめなかった。今回のように洋画の劇場公開と同時に、日本語吹き替えと映像を言葉で解説する音声ガイドを提供するのは珍しいという。

     UDCastは昨年から全国の映画館で導入が始まっている視聴覚障害者向けの映画鑑賞用バリアフリーシステム。視覚障害者はスマートフォンやタブレット端末とイヤホンを使って本編映画と同期した音声ガイドを聴くことができ、聴覚障害者はヘッドマウントディスプレーのような眼鏡型端末を通してスクリーンを見ると、日本語字幕が投影される仕組みだ。

     初めて吹き替え音声ガイドに挑戦したのは人気アニメ「ラブライブ!」の主人公・高坂穂乃果役の声などで熱狂的なファンが多い新田恵海さん(32)=写真。

     「ブランカとギター弾き」はストリートチルドレンとして育った孤児の少女ブランカが母を買うことを思いつき、盲目のギター弾きのピーターと2人で幸せ探しの旅に出る話。フィリピンの街角で流しの音楽家として活躍していたピーター・ミラリさんが食堂で歌を歌ってお金を稼ぐなど彼女に生きるすべを教える盲目のギター弾きを演じるなど、出演者のほとんどが路上でキャスティングされている。

     新田さんは、ユーチューブの歌姫として人気を拍しているフィリピンの少女サイデル・ガブテロさんが演じた主人公のブランカの声を担当した。

     1日に開かれた音声ガイド付き上映イベントでインタビューに応えた新田さんは「全く知らない世界だったので初めは緊張しました」と告白しながら「単なる説明ではなく、聴いている人が音だけでも情景をイメージできるよう心がけました」と話した。

     本作がデビュー作となる長谷井監督はこの作品で、日本人として初めてベネチア・ビエンナーレ&ベネチア国際映画祭の全額出資を獲得した。

     当日、音声ガイド付き上映を体験した東京都練馬区在住のしんきゅう師、岡野宏治さん(57)は「見えていた頃は年間150本くらい見るほどの映画好きだったが、網膜色素変性症で徐々に視力が落ちた。ネット公開されている音声ガイド付きの映画音声シネマ・デイジーも利用しているが、見えた頃に見た映画と音声ガイドで見た映画と区別がつかないくらい映像化できる。UDCastができたおかげで私たち視覚障害者もいつでもどこでも映画を楽しめるようになってうれしい」とほほえんだ。【岩下恭士】

    ◆動画:「ブランカとギター弾き」で主人公・ブランカの吹き替えと音声ガイドに挑戦した新田恵海さん