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ユニバ・リポート

<人工視覚>ネット環境がなくても使える視覚障害者用音声AIメガネ--

写真=メガネのツルに取り付けられた「オーカム マイアイ2.0」

<人工視覚>ネット環境がなくても使える視覚障害者用音声AIメガネ--オーカム マイアイ日本語版を発売

 全世界の視覚障害者の間で大反響を呼んでいるAIメガネ「オーカム マイアイ(OrCam My Eye)2.0」が日本語に対応、国内での販売が始まった。ネット環境がなくてもカメラで撮影した印刷物の文字や物体、紙幣の種類や色、人の顔やバーコードなどを識別して瞬時に音声で読み上げる。オーカム マイアイはヘブライ大学から誕生したイスラエルのベンチャー企業オーカム・テクノロジーズが開発した視覚障害者用の支援技術。昨年、半導体最大手のインテル傘下になった系列会社で、自動運転車開発を手がけるモービルアイの高精度画像認識技術を視覚支援に活用した。

     13メガピクセルのカメラとスピーカーが一体になったオーカム マイアイ本体は、長さ76ミリ、幅14.9ミリ、高さ21ミリで、重量は約22.5グラムと100円ライター程度の大きさ。使用中のメガネのツルにマグネットで簡単に装着できるため、耳元で音声を再生できる。内蔵バッテリーの連続使用時間は約1.5時間で、約40分で充電できる。

     操作は読ませたい部分やものを指で示すか、本体のタッチバーに触れるだけ。特筆したいのは、視覚障害者の利用を徹底的に追求したデザインを採用しており、電源を入れた時点から音声やビープ音でユーザー自身が動作状態を簡単に把握できることだ。

     オーカム マイアイを効率よく使用するには使用法を熟知することが不可欠になることから今月、東京都内に開設された同社日本オフィスでは、製品の販売と製品使用トレーニングをセットで提供する。

     「ページの一部がフレームに入っていません。頭を少し右に向けてください」「追加のテキストが下にあります」「バッテリーが40%になりました」「あなたは指を右に曲げる傾向があります。指を真っすぐ立ててください」など、文字の認識や読み上げは極めて滑らか。日本語部分は男性、英語は女性の声で読み上げられる。

     今後、機能の強化が図られるそうだが、もしもカメラ側で文字を見つけると自動的に読み上げるようなライブスキャンモードのようなものがあれば、商店街を歩きながら周囲の店の看板などを次々に読み上げさせることもできるのではないだろうか。

     このデバイスの最大の特徴はグーグルも手を出さなかった顔認識だ。最大100人まで登録した人の顔を識別できる。登録には3方向からの撮影が必要だが、ユーザー自身が自分の声で名前を録音可能だ。これを使うと前方から友人が歩いてきたときに「健ちゃん、おはよう!」などと、視覚障害者の方から声をかけられるかもしれない。

     実際に自分の顔を登録して試したところ、登録時と同じ素顔では問題なく認識されたものの、後からサングラスをかけてカメラを向けても反応しなかった。「間もなく公開予定のフルスペック版では認識精度がさらに向上します」と同社日本オフィス統括責任者の柳平大輔さんが説明した。

     オーカム マイアイ2.0はタイムズコーポレーションなど視覚障害者用支援技術販売代理店などで取り扱っている。希望小売価格は64万8000円(税込み)だが、自治体の日常生活用具給付による公費助成が受けられる場合がある。【岩下恭士】