バリアフリーキーワード

 バリアフリーの問題を理解するのに役立つ言葉を拾って、わかりやすく解説します。

アクセシビリティ(Accessibility)

 アクセシビリティは、「接近可能性」、「利用し易さ」などと訳されるが、交通機関、建築物、電気通信機器類などを障害者や高齢者を含むすべての人が自由に使えること、あるいは誰もがあらゆる社会・経済活動に参加できる状態を指す。

 アメリカでは、元々建築用語として北欧で生まれた「バリアフリー」より「アクセシビリティ」の方が一般的である。

 特に情報バリアフリーの分野では、インターネットのホームページを画像を見ることのできない視覚障害者なども利用できるようにする「ウェブアクセシビリティ」が求められている。

音声ブラウザー

 英語では、Talking Browser、Speech Browser、Nonvisual Browserなどと言われている。

 視覚障害者など音声でウェブを閲覧したい人のために、ホームページのテキスト情報をパソコンの合成音声で読み上げるソフト。

 リンク箇所を女声で読んだり、画像やリンクの数、フレームの有無など画面情報を音声で知らせる他、マウスの代わりに数値キーパッドやキーボードから操作できる。

 ネットスケープなど一般のブラウザーに依存するものとそれ自体専用ブラウザーとしてテキスト情報だけを表示するものがある。

 日本語版音声ブラウザーの代表的なものには、ホームページリーダー(日本アイビーエム)がある。

オーディオディスクリプション(Audio description)

 日本では、一般に「解説放送」、「副音声解説」などと言われている。

 映画のオリジナルサウンドなどを流しているテレビの音声多重放送の第2チャンネルで、視覚障害者向けに人物の動作など実況解説を付けること。

 NHKの連続テレビ小説、日本テレビ系の火曜サスペンス劇場などで実施されている。

 米国ボストンのWGBH財団などが一分のテレビ番組やビデオの音声解説製作を専門的に行っている。

 98年には、大ヒット映画「タイタニック」のオーディオディスクリプションをロサンゼルスとボストンの映画館で実施、話題になった。 日本デモ福祉映画などで解説を付けるケースはあるが、ロードショーでは例がない。

交通バリアフリー法

 正式には「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」。

 バリアフリー基準を定め、駅などの施設や乗り物、駅前広場、道路など周辺施設のバリアフリー化を、地方自治体を中心に進める。新設駅にはエレベーターや障害者対応型トイレなどの設置を義務付ける。既設駅は「努力義務」とするが、「1日の利用者数が5000人以上か相当数の高齢者、身体障害者が利用する施設」は重点的に推進する。

 必要な措置を求める命令に従わなかった場合などには最高で100万円以下の罰金が科せられる。

自動朗読システム

 OCR(光学式文字読みとり)ソフトと音声合成エンジンを組み合わせた視覚障害者用読書機。

 スキャナーで読みとらせたテキスト情報をパソコンの合成音声で読み上げさせるもので、市販のOCRソフトをスクリーンリーダーで利用することもできるが、視覚障害者用に開発されたものはスキャニングのプロセスを音声でガイドする。

 欧米語用では米アーケンストーン社のOpenBook(オープンブックやカーツワイル社のテキストリーダーなどがある。日本語対応では、単体で使えるアメディア社の読書機ヨメールEZなどがある。

 公的な文書では概ね95パーセント以上の読みとり正度を実現しているが、新聞の段組みや手書き文字がネック。

スクリーンリーダー(Screen Reader)

 パソコンの画面を合成音声で読み上げるソフトのこと。

 ウインドウズ用、DOS用など各OSに対応し、画面を見ることのできない視覚障害者がパソコンを使うときに必要となる。

 しかし、GUI(Graphical User Interface)はアイコン(絵文字)などテキスト以外の情報が多く、現状では視覚障害者にとって必ずしもパソコンを使いやすい環境とは言えない。

デイジー(Daisy)

 「Digital Audio-Based Information System」の略称で、パソコンを視覚障害者など活字印刷物へのアクセスの難しい人のためのデジタル録音図書製作・再生技術のこと。

 これまで点字図書館などで製作される録音資料は主にカセットテープが使われていたが劣化が激しく、読み飛ばしも容易でないことから関係者の間でより使い勝手のよい録音メディアが強く求められていた。

 デイジーではCD1枚に最大で約50時間録音できる上に、ページ、章、節、見出しなど階層化されたユニットを自由に移動できる。

 1997年8月のIFLA(国際図書館連盟)コペンハーゲン大会で採択され、録音図書の国際標準となった。

 現在、デイジー再生専用機として、日本のプレクストーク(プレクスター社)とカナダのビクター(ビジュエイド社)が開発、市販されているが、PC再生用のフリーウェアも提供されている。

 将来的にはインターネット上でのデータ利用も期待されている。

 ノーマネット

点字ディスプレイ(ピンディスプレイ)

 「紙の要らない点字」という意味で総称的に「ペーパーレスブレイル」とも言われる。

 英語ではRefreshable Braille(再生できる点字)が一般的。

 小型モーターの駆動によりピンを上げ下げして、点字を表示する視覚障害者用PC周辺機器の一つ。

 1行20、40、80セル(マス)などのモデルがあり、ディスプレイ上の文字情報などをスクリーンリーダーで点字に変換して表示する。ノートテイカーとして携帯できるものもある。

 新しいモデルでは、各セルの上にあるボタンを押すと、瞬時にカーソルをそこに動かせるカーソルルーティング機能を持ったものが多い。

パソコンボランティア

 音声読み上げソフトなど特殊な障害者用ソフトの組み込みやインターネット接続などを自力ではできない障害者の代わりに依頼者宅を訪問して行ったり、講習会を開いて指導するボランティアのこと。通称「パソボラ」と言われている。

 音声ブラウザーや大形キーボードなど専用の入出力装置(支援技術)の開発で障害者もパソコンを使って仕事をしたり、コミュニケーションすることで社会参加の可能性が大きく広がった。しかしネックになるのがPC導入時の設定や障害に応じた技術の習得。

 パソボラはメーカーのサポートデスクやリハエンジニアの透間をうめる形で、障害者の周辺から草の根的に発生した。したがって、現在各地に散在するパソボラグループの規模や活動形態、構成メンバーの職種や年齢層も様々。

 インターネットの爆発的な普及にともない、ここ数年は情報バリアフリー社会の人的支援の中心的な役割を担う存在と言えるだろう。

 アクセスV

ユニバーサルデザイン(Universal Design)

 米国ノースカロライナ大学の故ロン・メイス氏が提唱した、高齢者や障害者を含め、すべての人が使いやすい商品開発思想。

 バリアフリーのように後から車椅子専用トイレや視覚障害者用プッシュホン型券売機を作るのではなく、設計開発段階からあらゆるニーズを想定してデザインを考えるバリアフリーより一歩進んだ考え方。

 例えば、眼鏡やリフト付きバスはバリアフリーだが、コンタクトレンズや低床型バスはユニバーサルデザインである。

 つまり、誰もが年齢や性別、身体的ハンディキャップを意識することなく、利用できる製品デザインのことである。

ADA(アメリカ障害者法)

 ADA(Americans with Disabilities Act)は1990年7月26日施行された障害者の差別禁止を歌った米国の法律。

 大きく、雇用、移動、コミュニケーションの三つの場面において、障害者が不等な扱いを受けることを禁止している。

 例えば、ソフトメーカーは能力のあるプログラマーを、障害を理由に採用を拒否してはならない。

 ホテルやレストラン、バスは車椅子が利用できるよう配慮しなければならない。

 障害者の差別禁止を明言した初の人権法として世界的に注目されたが、物理的なバリアの除去が中心で、インターネットなど情報通信技術のアクセス保証については触れられていない。

PC要約筆記

 手話や手書きとともに、聴覚障害者の情報保証手段の一つで、パソコン通訳とも言う。

 大学の講義や講演会のスピーチなどをその場でキー入力し、プロジェクターでスクリーンに映し出すこと。

 通常、入力者は2~3人が一組になって、文字入力とチェック担当を交替しながら作業を進める。

 聴覚障害者の中には手話を知らない中途失聴者なども少なくないため、情報バリアフリーの分野では字幕放送などとともに、このような情報通信技術を活用したリアルタイムの情報保証が求められている。

 リアルタイム字幕は、従来同一性を保持できないという理由から著作権者の許諾が義務付けられていたが、2000年の法改正により福祉施設などが許諾を得ることなく、字幕送信できるようになった。