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声をつないで
なぜ志願兵に?「戦争は女の顔をしていない」が今問いかけるもの
2022/3/11 17:00深掘り 3963文字約80年前、「祖国のために」と武器を手に戦った女性たちがいた。第二次世界大戦中に従軍した旧ソ連の女性兵士の証言を集めた「戦争は女の顔をしていない」は、ウクライナ生まれのノーベル文学賞作家、スベトラーナ・アレクシエービッチ氏の代表作だ。ロシアとウクライナの戦闘が続く中、女性たちが明かす過酷な戦場の実
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吉原の遊女16人はなぜ放火したのか 日記を読み跡地で感じた不条理
2021/10/3 16:00 4325文字「わたしをはだかニして、あさまでねかさづニしばつておきましたよ」。幕末の新吉原遊郭である事件が起きた。遊女16人が共謀して自らが働く店に火を付け、直後に「自首」したのだ。最近になって事件に関わった遊女たちがつづった日記や裁判史料の研究が進み、日常的に暴力を受けていたことなど過酷な実態が明らかになっ
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広島を去らなかった医師 被爆2世女性が追った家族の「真実」
2021/4/11 08:00深掘り 3928文字<ガンマー線の透過性は極めて強力でコンクリート室内の鉛箱の中に格納されてゐたレントゲン用写真乾板も悉(ことごと)く感光した>。76年前に広島に原爆が投下された直後、広島赤十字病院長を務めていた祖父は重傷を負いながら負傷者の治療を指揮していたという。その祖父が翌夏、克明な記録を雑誌に寄稿していた――
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「どうせ女は…」加藤陽子さんが今も許せない「グロテスク」な言葉
2021/3/12 08:30 5024文字「私、へこたれていませんよ」。張りのある朗らかな声が印象に残った。歴史学者の加藤陽子・東京大教授だ。日本近代史の優れた研究者として知られるが、政府に任命拒否された日本学術会議の新会員候補6人のうちの一人となり、昨秋は「渦中の人」になった。それでも前向きに自らの道を究める加藤さん、女性として苦労した
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「被害主張は女のヒステリー」 原発事故被災者が受けた女性差別
2021/3/9 05:00 5048文字「福島から嫁はいらない」「放射線被害を訴えるのは女のヒステリー」――。これらは、東京電力福島第1原発事故(2011年3月)で被災した女性たちが、ネット上で、または面と向かって浴びせられ、傷ついた言葉だ。主に福島県から避難した女性たちから体験の聞き取りを続けてきた宇都宮大の清水奈名子・准教授は「事故
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横山百合子氏が語る「日本でジェンダーギャップが生まれた理由」
2021/3/2 11:00 3823文字「元始女性は太陽であった」とは、女性解放を訴えた作家、平塚らいてうが雑誌「青鞜(せいとう)」創刊号に自ら寄せた文章の題名だ。その通りに、邪馬台国の王・卑弥呼の時代は男女の区別はなく、女性リーダーは当たり前の存在だった。なのになぜ、日本のジェンダーギャップ(男女格差)は今、かくも大きく深刻なのか。こ
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「体を近づけたら票に」 最年少の女性市長が明かすハラスメント
2021/2/27 10:00 3866文字有権者らからのハラスメントに悩む女性政治家は少なくなく、女性の政界進出が進まない要因の一つとも言われている。昨年4月の徳島市長選で初当選し、史上最年少の女性市長となった内藤佐和子氏(36)は「『女を使う』ことを求められたり、容姿について中傷されたりした」と自らの被害体験を明かす。市政運営の難しさを
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下重暁子さんが森氏発言に見た深い闇 「多くの男性の本音では」
2021/2/15 14:00 2442文字辞任したからといって、看過できるものではないだろう。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長職に辞意を示した森喜朗氏(83)による女性蔑視発言のことだ。今もやまない批判には「時代錯誤」といった意見も多いが、作家の下重暁子さん(84)は「世の多くの男性の本音は森さんと同じなのではないか」と問
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#五輪をどうする
「森氏がやめて済む問題ではない」 來田享子・中京大教授
2021/2/10 11:00 3591文字東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長による女性蔑視発言。国内外で批判はやまず、森会長の辞任を求める声も高まっている。そもそも五輪の実現が疑問視されているうえ、差別を禁じる五輪憲章を踏みにじるような発言が組織委トップから出たことで、開催の意義も大きく揺らぐ事態になっている。「日本ス
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「コレラ病アリ」強権的な衛生行政がもたらした監視社会 専門家「歴史繰り返すな」
2021/2/6 08:00 4060文字「コレラ病アリ」。感染者が出た家の軒先に病名を書いた票が貼られ、感染者は強制隔離。感染を隠蔽(いんぺい)すれば密告され、感染予防を講じなかった者は逮捕される――。これは150年近く前、コレラが流行した日本で実際にあった出来事だ。そして今、入院を拒んだ新型コロナウイルス感染者に罰則を科す感染症法改正
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条約で核兵器なくせるか
「自分も銃を持ったら…」 核兵器禁止条約支持の田中真紀子氏を支える角栄氏の言葉
2021/1/23 10:00 4177文字国民の多くがふに落ちていないのではないか。核兵器の存在を史上初めて違法と定めた核兵器禁止条約が22日に発効したのに対し、唯一の戦争被爆国である日本が不参加を明言していることである。政府は、米国の核抑止力を維持することを理由に挙げ、「核保有国と非保有国との橋渡し役を担うことで核廃絶を目指す」という。
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緊急事態宣言、なぜ効果低い? 経済学者が分析「罰則も期待できず」
2021/1/9 15:00 2940文字新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2度目となる「緊急事態宣言」が発令された。しかし、その効果を疑問視する声も上がっている。昨年4~5月の緊急事態宣言時、外出がどれだけ抑制されたかを計測・分析した経済学者の渡辺努・東京大教授は「宣言による抑制効果は小さく、今回はさらに薄くなるだろう」と推測。新型イ
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「スマホ脳」強い依存性に警鐘 ベストセラー著者の精神科医に聞く
2021/1/4 15:00 3584文字「スマホをポケットに入れているだけで学習効果が著しく下がる」「1日2時間を超えるスマホ使用は、うつのリスクを高める」――。脳科学に関する世界中の研究結果をもとに、スマホなどデジタルメディアの悪影響を告発する「スマホ脳」(アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳、新潮新書)が話題だ。本書によると、スマホは
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「1日で49人の相手を…」 過酷な労働、波乱の人生赤裸々に 「からゆきさん」肉声テープ発見
2020/12/29 07:00スクープ 6508文字「一日一晩のうちに、49(人と)したよ……」。16歳の少女は、船底で汚物にまみれて海を越え、見知らぬ異国で春を売った。幕末から明治、大正にかけ、貧しさから海外に渡り、娼婦(しょうふ)として働いた女性「からゆきさん」。その一人が約60年前、その過酷な体験を赤裸々に語った約12時間分の肉声がテープに残
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冬に増す「コロナ空気感染」の脅威 ウイルス研究者が説く「第3波」への正しい備え
2020/12/20 13:00 3676文字新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため、政府が国民に対策の徹底を求めた「勝負の3週間」が過ぎたが、感染者の増加に歯止めがかからない。ウイルス感染症に詳しい国立病院機構仙台医療センターの西村秀一・ウイルスセンター長は、現状を「感染爆発の導火線に火がついている状態」にたとえ、冬場に危険度を増す「
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#排除する政治~学術会議問題を考える
「まるでモラハラのよう」 矛盾だらけの「改革」論議 名大・隠岐さや香教授
2020/12/1 09:00 4261文字「フランスのブルボン王朝の出来事かと思うほど、前近代的なことが起きた」。菅義偉首相が日本学術会議の新会員候補6人を任命拒否した問題。学術会議の連携会員で、パリの科学史を研究してきた隠岐さや香・名古屋大大学院教授はこう表現する。5年前、学術会議のあり方を考える有識者会議の委員を務めた隠岐さんには、政
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#生きるのがつらいあなたへ
若い女性の生きづらさ 非正規労働者の解雇や休校が要因に 上田路子・早大准教授
2020/11/28 16:02 4491文字減少傾向が続いていた自殺者数が増え始めている。今年7月以降、前年同月より2~39%多い状況が続き、男性より女性の増加率が高くなっている。芸能人の自殺も相次ぎ、それによる影響の広がりも懸念されている。自殺の背景を研究する上田路子・早稲田大准教授は「40歳未満の若い女性」の増加に注目する。詳しく聞いた
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「このままでは核兵器はなくならない」 ジャパネット創業者が「伝える」核廃絶と平和
2020/10/26 06:00 4546文字史上初めて核兵器を違法と定めた核兵器禁止条約(2017年採択)を批准した国・地域が50に達し、来年1月に発効することになった。しかしながら、核兵器保有国や日本をはじめとした核の傘の下にある国は賛同しておらず、発効しても実効性を担保できるかが課題となっている。そんな中、意外な人が「このままでは、核兵
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入試で女性差別、否認続ける聖マリアンナ医科大 「泣き寝入りはしない」元受験生が提訴へ
2020/10/14 05:00深掘り 4083文字女性であることを理由に入試で差別的扱いをされ精神的苦痛を受けたとして、聖マリアンナ医科大(川崎市)を受験した女性4人が14日、同大に慰謝料などを求めて東京地裁に提訴する。文部科学省は計10大学に対して男女差別などがあったと指摘しているが、同大のみが認めておらず、さらに客観的証拠を基に不正を認定した
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#排除する政治~学術会議問題を考える
法政大出身の菅氏へ「民主主義国家が誇り持てる首相に」 田中優子・法政大総長
2020/10/12 12:00 2946文字「断じて許してはなりません」。日本学術会議の新会員候補6人が菅義偉首相から任命されなかった問題に対し、法政大の田中優子総長は学問の自由を侵す行為として強い警鐘を鳴らす異例のメッセージを発表した。その発表前に取材に応じた田中氏は「安倍政権の時代から国会議員による本学の研究者に対する恫喝(どうかつ)や
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