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心を奮い立たせる人間教育 特別支援学校、社会人野球の指導で培った理念とは

社会人野球のクラブチーム「YBC柏」の監督時代、試合中にバッテリーにアドバイスをする久保田浩司さん(左)=千葉県内で2015年6月2日午前10時39分、円谷美晶撮影

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 特別支援学校の教諭で社会人野球のクラブチーム「YBC柏」(千葉県柏市)で監督も務めた久保田浩司さん(54)が、自身の指導経験をまとめた「あの時の野球とあの子たち」(大学教育出版)を出版した。悪戦苦闘しながら選手や障害のある生徒、保護者らと根気強く向き合ってきた久保田さん。「障害者も健常者も本質は同じ」と語る教育の信念をつづっている。【円谷美晶】

YBC柏総監督の谷沢健一さん(後列右端)や選手らと共に全日本クラブ野球選手権初出場の意気込みを示す久保田浩司さん(後列左端)=千葉県の柏市役所で2014年8月26日

 東京都出身の久保田さんは都立調布南高、日体大の硬式野球部で外野手としてプレー。卒業後は都立の養護学校(現特別支援学校)教諭として採用された。知的障害のある生徒のソフトボールチームを指導し、都大会では14回も優勝。社会人の健常者チームに勝ったこともあるという。

 社会人野球の指導者として声が掛かったのは15年前のこと。プロ野球・中日で2度の首位打者に輝いた名選手で、親交のあった柏市出身の谷沢健一さん(72)から、クラブチームを作るために協力してほしいと頼まれた。2005年に谷沢さんが設立したYBC柏(当時はYBCフェニーズ)のコーチ、助監督、監督として06年から13年間指導。14年には全日本クラブ選手権に初出場して4強入りするなど強豪クラブに育て、19年に退任した。

 今回出版した著書では、平日は特別支援学校、週末はYBCで指導に当たった日々を振り返った。支援学校では自分の感情を表現するのが苦手な生徒や保護者らと共に、笑ったり泣いたりしながら絆を深めていった。一方、YBCでは当初、野球に取り組む選手の意識がバラバラで組織の規律も守られていなかった。試合に出られないとふてくされて練習に来なくなる選手もいたという。久保田さんはグラウンドまで歩く際に選手との会話を心がけ、練習環境の整備にも奔走しながら選手の心を奮い立たせた。

特別支援学校や社会人野球のクラブチーム監督での指導経験をつづった著書「あの時の野球とあの子たち」を手にする久保田浩司さん=本人提供

 指導の根底には、支援学校で諦めずに生徒と向き合い続けた経験があった。本の中では、思い通りにならないと暴れるなど攻撃的な感情を出していた生徒からゆっくり気持ちを聞き出し、時には取っ組み合いもした場面が描かれている。保護者からも話を聞いて心と体の状態を把握し、障害の程度に応じた指導方法を考えた。「相手の特性や個性を見極めて真摯(しんし)に向き合い、何が必要かを考えることは(健常者も障害者も)共通だと感じた」という。

 特別支援学校の教諭として30年以上の経験を積んだ久保田さんの夢は、知的障害のある選手たちの硬式野球部を作り、甲子園を目指して大会に参加することだ。「難しいけれど、諦めずチャレンジしたい」と力を込める。

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