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憲法秘密会議事録公開

党利党略で公開されず−−2度検討も、自社が交互に反対

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 憲法改正案を審議した芦田小委員会の速記録公開になぜ半世紀もかかったのか。公開が衆院で具体的に検討されたのは1955年から翌年にかけてと、80年から翌年にかけての2回だが、1回目は自民党、2回目は社会党の反対で結局、今日まで日の目を見なかった。

 速記録公開に熱心に取り組んできた森清・元自民党衆院議員は「56年まで芦田小委員会の速記録は秘密ではなかった。自由に見ることができた」と言う。

 速記録公開が国会で公式に議題として取り上げられた55年は、自主憲法制定を目指した憲法調査会法案が議員提案で提出された年。これに反発した社会党は、現在の憲法が押しつけ憲法か自主憲法かを証明するためとして小委員会議事録の公開を強く求めた。

 同年7月28日の衆院内閣委員会で森三樹二委員(左派社会党)は憲法調査会法案の提案者だった古井喜実委員(民主党)に、「われわれが国会の権威によって決定した憲法を、あなたは自らこれを否定するごとく、自主的な憲法でないと言われる。理由はどこにあるのか」と質問。古井氏は「枠をはめられた審議であったことは疑いない事実」と答えた。後に横浜市長、社会党委員長となる飛鳥田一雄委員は「憲法制定の審議録で秘密になっているものを即刻公開すべきだ」と公開動議を提出した。

 最終的に翌56年5月10日、議運委員会は「閲覧は国会議員に限り、議長が指示する場所で行う。複写は不許可」と決定、事実上秘密議事録となり国民の目に触れる機会は閉ざされた。

 55年2月の総選挙で初当選、後に自衛隊の「違憲合法論」を唱えた石橋政嗣元社会党委員長は「当時の鳩山内閣は憲法調査会法案と小選挙区法案をセットにして憲法改正を成し遂げようとしていた。速記録を公開すると、芦田修正は非武装を目指したもので押しつけ憲法でなかったことが証明されてしまう。日本の自発的意思で9条ができたことを国民に知らせてはいけないという判断だったとしか考えられない」と語る。

 一方、「9条変遷論」を唱えている橋本公亘中央大名誉教授は「非公開に決まった理由は、GHQという外国権力が国家の最高法規の制定に介入したことが明らかになるのは国辱だという判断からだったのではないか」と指摘する。

 それから24年後の80年11月。当時、自民党衆院議員だった森氏が秘密議事録の公開を求める上申書を福田一衆院議長に提出、衆院議運委員会の理事会で協議された。ところが、かつては公開を強硬に主張した社会党が今度は公開を拒否した。自民党は「議会政治は歴史を探求することだ。速記録を公開すべきだ」と主張、民社党、新自由連合も同調した。社会党は「国民に偏った情報を与えては誤解を招く。国会の先輩議員が非常に慎重に取り扱ったのは理由があると考える」と反対した。これについて、社会党の議運委理事だった山口鶴男前総務庁長官は「情報公開は原則的には必要だが、森氏の上申書には特定の意図があると考えた」と言っている。

 しかし、社会党の方針転換には謎が残る。芦田小委員会の中で社会党代表の鈴木義男委員が9条の1項と2項の順番をひっくり返して非武装をより明確にしようとした芦田試案に異議を唱え原案に戻す役割を果たしたことが明るみに出ることは、80年当時の社会党の「自衛隊違憲」「護憲」の立場から都合が悪かったのではないかという見方も成り立つからだ。

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