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朱鷺色の空に 2008初放鳥

別れの舞、興奮の一瞬−−全鳥捕獲直前の5羽を撮影、毎日新聞・岡崎一仁記者

 国が佐渡のトキ全鳥(5羽)捕獲を決めた79年の暮れのこと。毎日新聞夕刊(79年12月8日付)に、縦6段分の大きな写真が掲載された。佐渡で野生の5羽が最後に撮影された一コマで、大きな反響を呼んだ。撮影に成功した毎日新聞写真部のカメラマン、岡崎一仁記者(60)に当時を語ってもらった。【聞き手・五十嵐和大】

     <記事の見出しは「別れの舞か…」とある。掲載から1年余りたった81年1月までに、5羽はすべて捕獲された>

     79年12月3〜5日、環境庁などが実施した最後のトキ一斉調査に同行した。人工飼育するため、国が佐渡のトキを一斉捕獲する方針を決めた直後のことだった。野生のトキを撮影できる最後の機会だった。

     当時は、環境問題や自然保護への関心が全国的に高まっていた時期だったのだろう。わざわざ東京から写真部員(カメラマン)が行ったぐらいだから、世間の注目を集めていたんだと思う。

     <性格的に、人懐っこいとも、警戒心が強いともいわれるトキ。粘り強く、その「一瞬」を待った>

     私は当時、入社6年目。デスクに「野宿してでも撮ってこい」と厳しく言われ、その通り、翌日分のおにぎりも作ってもらって宿を出た。

     2日目の4日早朝、調査員の後を追って、両津の沢地(柿野浦地区)を歩き回った。そうしたら、ねぐらに来たのか、立ち木に舞い降りた5羽の姿を見つけることができた。幸運だった。

     100〜200メートル離れたところにとどまり、800ミリ望遠レンズに2倍のテレコンバーターを付け、三脚を立ててシャッターチャンスを狙った。2時間ぐらいたって、5羽は突然舞い上がり、ゆっくりと旋回すると、尾根の向こうに姿を消した。

     <岡崎記者は5羽の写真に添えた記事で、こう記している。「一瞬、シャッターを押す手が止まるほど、それは自然で、美しかった」>

     一瞬だった。その間に撮影できたのはおそらく1、2枚だけ。朝日が逆光になり、広げた翼が朱鷺色に透けて見えた記憶がある。東京に帰る夜汽車の中、チラシの裏に原稿を書き連ねたことを鮮明に覚えている。興奮していた。

     全鳥捕獲後、5羽を最後に撮ったのが自分だったと聞かされた。「やったな」と誇らしい気持ちだった。

     でも、あれから28年が過ぎ、当時の5羽が絶滅する一方、佐渡のトキが100羽にもなったと聞くと、時代が変わったという思いがする。

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