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朱鷺色の空に 2008初放鳥

放鳥3カ月、トキの死 難しい人間との共生 /新潟

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 トキ10羽が佐渡市で試験放鳥されてから、3カ月がたつ。この間、世の中の注目を集めた出来事といえば、同市中央部の加茂湖近くの林で今月14日、1羽が死骸(しがい)で見つかったことだろう。

     死んでいたのは、2歳のオスと行動をともにしていた1歳のメスだった。つがいの形成が唯一期待されていた個体だけに、地元の関係者からは死を悼む声が相次いだ。

     これを受け、県と佐渡市は、環境省のトキ野生復帰専門家会合が「冬季も原則的に餌をやらない」と決めたことに対し、「県内では『非情』との見方もある」として同省に「温かい対応」を求める要望書を出した。トキの死の衝撃が自治体をも動かしたのだ。

     しかし、あえて言いたい。トキが死ぬのは、織り込み済みだったのではないのか。8月4日、佐渡市で開かれた放鳥前、最後の専門家会合。山階鳥類研究所の山岸哲所長は「放鳥トキの生存状況」と書かれた1枚の資料を配った。

     45・83%−−。04〜05年に中国陝西(せんせい)省洋県で放鳥されたトキの年死亡率だった。「みなさんは、このことをよく知っておいてほしい」。山岸所長が話すと、会合の出席者はじっと紙を見つめた。

     現在、生息が確認されている放鳥トキは計8羽。1羽が死に、残る1羽は行方不明になっているが、この数字と照らし合わせれば、何ら不自然ではない。トキの死は、もっと冷静に受け止められるべきものではないのか。

     トキを巡る「過剰反応」はこれだけではない。関川村に飛来していた3歳のメスが同村を離れたのは、大勢の人が集まり、トキが驚いたためだとする専門家の指摘がある。

     佐渡市では、近づくと人だかりができるため、観察員が数百メートル先から物陰に隠れて観察するという本末転倒な事態も起きている。

     かつて人の手によって捕獲された結果、野生種が絶滅し、再び人の手によって野生に戻されようとしているトキ。人間との共生への道は険しくて遠い。【畠山哲郎】

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