連載 漫画で解説 毎日新聞デジタルの「漫画で解説」ページです。最新のニュース、記事をまとめています。 連載一覧 漫画で解説 エジプトの「春」その後の巻 2013年1月14日 15時28分(最終更新 1月14日 15時28分) 30文字 Twitter Facebook はてなブックマーク メール リンク 印刷 エジプトの「春」その後の巻 「アラブの春」から2年…民主化運動を経てエジプトはどうなった 曙くんが、注文した本と取りにヤギブックスへやって来ました。 曙くんは中東情勢に興味があるのでしょうか。 「アラブの春」から2年がたち、もうけ話のタネを探していたようです。 ところで、中東の民主化はうまくいったのでしょうか。 エジプトは新しい国造りがなかなか進まなくてもめているようですね。 2011年2月、約30年間続いたムバラク政権は崩壊し、大統領の権限は一時的に「エジプト軍最高評議会」に移され憲法は廃止。 人民議会(国会)も解散しました。 大統領は辞めさせたけど軍政そのものは残ったんですね。 軍最高評議会は参謀総長や各軍の司令塔で構成、タンタウィ国防相が議長になりました。 一方、11年~12年に行われた人民議会選挙では「ムスリム同胞団」が躍進したのです。 ムスリム同胞団とは、穏健派のイスラム主義組織で、武装闘争路線の「原理主義」とは異なります。 ムスリムとはイスラム教徒のことです。 英国の支配下にあった1928年「イスラムの原点に立ち返ろう」と訴えた大衆運動が始まりです。 続く大統領選で勝利したモルシ氏も出身者です。 エジプトがイスラム主義の国になるのは困るようです。 軍政寄りの最高憲法裁判所は人民議会の解散を宣言したり…新憲法を作るための委員会も活動中止に追い込まれたり… 要するに、軍政や軍関係者らの旧支配勢力は既得権益を心配しているということです。 イスラム主義の国になると何が困るのでしょうか。 大多数のエジプト人にとってはやはりイスラム教が重要なのですが、国際政治、特に米国との関係を考えると難しいのです。 イスラエルを支援する米国はエジプト軍に年間約13億ドルを援助しているのです。 エジプト軍は、親米・親イスラエル路線を続けたいのですね。 でもムスリムにとっては同胞であるパレスチナを占領するイスラエルや米国は許せないという気持ちでしょう。 新憲法と旧憲法を比較すると 新憲法は預言者への侮辱を禁じ、国は女性の義務と仕事を調和させなければいけません。(男女平等とは特記せず)大統領の任期は4年、2期までです。 一方旧憲法は男女平等に基づき、国は女性の家庭と仕事への義務を調和させなければいけません。任期は6年で、再選は無制限です。 モルシ大統領は12年8月、タンタウィ氏を国防相から解任しました。 同時に大統領の権限を巡って軍政と綱引きが続き、新憲法にはイスラム色の強い条項が盛り込まれ、反大統領デモが起きたりと混乱していました。 結局12年12月の国民投票で新憲法は承認されました。 私たちのイメージとはちがいますが、これも民主化なのですね。 曙くんは「これがエジプトの選択か…」とカッコつけて言っています。 中に病キャラにでもなったのでしょうか…。 次の記事 「進撃の巨人」って?の巻 前の記事 第2次安倍内閣始動の巻 次に読みたい 混迷のエジプトの巻 銃天国アメリカ?!の巻 アフガニスタンってどんな国?の巻 クルド人ってどんな人たち?の巻 関連する特集・連載など 連載 漫画で解説 毎日新聞デジタルの「漫画で解説」ページです。最新のニュース、記事をまとめています。