ガルシア=マルケスの描く性愛の世界には、読者を楽しませるさまざまな趣向がこらされいる。だから、書きだせばきりがないのだが、とりあえず導入編として、その純愛、プラトニック・ラブ、決して満たされることのない片想いを考えてみたい。
1985年、ノーベル文学賞受賞の3年後に発表した長編小説「コレラの時代の愛」は、やや異常といえなくもないが、青年期にふられた少女を半世紀以上、正確には51年9カ月と4日間、ひたすらストーカーのように想い続け、相手の夫の葬式が済んだその場でプロポーズする男を描いている。
<ビター・アーモンドを思わせる匂いがすると、ああ、この恋も報われなかったのだなとつい思ってしまうが、こればかりはどうしようもなかった。>(木村榮一氏訳)
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