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漫画で解説

「吉田調書」って何?の巻

2011年3月、福島第1原発を指揮した人物…何を語った?

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マキは火達磨が口論しています。 言った、言わないの争いは不毛だと諭す文太。 福島第1原発の「吉田調書」から学べと言います。 「吉田調書」とは2011年3月11日の福島第1原発(1F)事故当時の関係者772人を政府の事故調査委員会が聴取したもののうち、吉田昌郎(まさお)元所長の聴取結果書です。 A4判で約400ページあり、2014年9月に公開されました。
どんなことが書かれているのでしょうか? まず、1号機の原子炉圧力容器への海水注入。 原子炉を冷やしていた真水が足りなくなり、3月12日午後7時過ぎから海水の注入を始めました。 ところが、首相官邸では…当時の菅直人首相が「再臨界の可能性はないのか検討を」と指示。 意図を汲んだ東京電力本店は「海水の注入は首相の判断を待て」と中止を命令しました。 これに対して吉田氏は「中止を命令はするが、絶対に中止してはダメだ」と現場に指示する一方、本店には「中止した」と報告しました。
吉田氏は「いつ再開できるか分からない指示には従えない」と自己判断したそうです。 もう一つのポイントは、「全面撤退」を巡る混乱についてです。 3月14~15日にかけて、2号機が危険な状態になり、放射線量が高くなりました。 所員の9割が一時、福島第2原発(2F)に避難しました。 吉田氏は「非常事態だ」と判断して、最小限の所員だけを残し、線量の低い所への待避を命じました。 ところが首相官邸へは「全員待避」と誤って情報が伝わったため、菅首相は自ら東京電力本店へ怒鳴り込みました。 調書の中で吉田氏は「何をばかなことを騒いでいるんだ」と怒りをあらわにしています。 どうして、今になって公開したのでしょうか? 政府は事故調査委の聴取をもとに2012年7月、最終報告書を公表しました。しかし 吉田氏は生前、「記憶の薄れや混同もあり、内容が独り歩きすると困る」と非公開を望んでいたのです。
しかし、朝日新聞が「吉田調書」を独自に入手。 2014年5月20日付の朝刊で「所員の9割が命令違反し撤退」と報じました。 後になって週刊誌や他の新聞が「命令違反はない」と報道。 吉田氏の懸念が現実のものになったため、今回、調書が公表されたのです。 朝日新聞は社長が会見し、謝罪しました。 初めから公表すれば良かったのかもしれませんが、吉田氏の証言には曖昧な部分もあります。 政府事故調以外にも、国会や東京電力、民間の調査報告書もあります。 これらを総合的に判断して、今後の教訓とすべきなのです。

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