特攻70年

「神風」犠牲4000人 9機に1機だった命中率

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女子学生の見送りを受け出撃する特攻機
女子学生の見送りを受け出撃する特攻機

 70年前の1944年10月25日、日本海軍の「神風特別攻撃隊」がフィリピン沖海戦で米海軍艦艇に初めて突入した。生還を許さない航空特攻の始まりで、終戦までの戦死者は約4000人ともされる。この体当たり攻撃の効果を、大本営は「9機に1機の命中率」と冷徹に試算。「大型艦に対しては致命的打撃威力を発揮できない」との査定も下していた。ノンフィクション作家の保阪正康さん(74)は「特攻は日本の恥部。美化することは、それを命じた軍当局と変わらない」と指弾する。【高橋昌紀/デジタル報道センター】

 旧防衛庁防衛研修所戦史室が編さんした「戦史叢書」によると、沖縄戦(1945年3〜6月)での戦果を基に、海軍は終戦間近に特攻機の予期命中率を算出。対機動部隊で9分の1(約11%)、対上陸船団で6分の1(約17%)と見積もったという。特攻作戦が始まったフィリピン沖海戦時は約27%としており、実際の命中率は大幅に低下していた。

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