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(16)ドネツクをゴーストタウンに変えた7カ月(下)−地元記者の報告

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 ウクライナ東部ドネツク州の州都ドネツクに暮らし、取材を続けるヤナ・トカチェンコ記者(37)の現地報告の後半をお届けする。子供たちの変化、インフラや治安の現状−−。地域を支配する親露派武装勢力による「ドネツク人民共和国」の今後を鋭く予想している。【訳・真野森作】

   ◇

 特筆すべきテーマはドネツクの子供たちだ。ホモサピエンスの新しい亜種だ。砲撃に反応せず、戦時下で戦争遊びをしている。ポケットには薬きょうと砲弾のかけら。砲撃で破壊された建物の近くで拾い集めたものだ。ドネツクの子供たちは、戦闘中の双方(親露派武装勢力とウクライナ政府軍)からの砲弾が届かない安全な地区にある学校に通っている。学校では身を守るための授業も実施されている。子供たちは1回の笛で床に伏せ、2回の笛で入り口近くに整列し、3回の笛で防空壕(ごう)へと走ることを学んでいる。正当な理由があって学校へ行かないこともある。「激しい砲声がしている」「検問所の行列にはまり込んだ」「一晩中停電で宿題ができなかった」などだ。

 電気やガスが無い中で数日から数週間過ごすことを、ドネツク市民は既に学んでいる。砲弾は破片になってガス管や電線へ飛び散る特性がある。事故作業班はいつも現場に急行できるわけではない。砲撃がやまないためだ。このため、ドネツクでは時々、携帯会社「MTS」の電話がつながらなくなる。他の携帯会社「キエフスター」と「ライフ」は何とか人々をつなげている。だが問題は、地元市民の圧倒的多数が「MTS」を使っているこ…

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