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私的本屋賞『九州の巨人!巨木!!と巨大仏!!!』オガワカオリ・著

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そこはかとない「おとぼけ」感がいい

◆ 『九州の巨人!巨木!!と巨大仏!!!』オガワカオリ・著(書肆侃侃房/1600円)

 車で移動していて、山や建物の合間から唐突に飛び出している仏像の頭部などにギョッとしたことがないだろうか?

 たいていはギョッとしたまま「あれはいったい何だろうか」と一瞬考えるだけに終わるのだが、その「ギョッ」に魅せられたのが、この本の著者のオガワカオリさんだ。仏像だけでなく、とにかく「巨」なモノが好きなんだそうだが「目と鼻と口がついてないとダメ」だとか。

 例外は巨木で、精霊が宿ってそうなヤツが好み、ということで、著者が恋した九州各地の「巨」な「人」「木」「仏」と「タコ山」全130カ所のオールカラーガイドだ。タコ山というのは、公園にあるタコのかたちの滑り台のこと。ワタシが小さい頃に遊んだ北九州市のタコ山がいまだ現役だと知り、ノスタルジーに浸る。

 仏(ブツ、と読んでほしい、みうらじゅん風に)に限らず巨大な像は、信仰や敬うことを目的に作られたはずなんだが、「ありがたい」雰囲気とともに、そこはかとない「おとぼけ」感が、ワタシ的にはたまらない。熊本の日輪寺のおびんずる様(お釈迦様の弟子の一人)の迫力たるや!

 30メートルの巨体が、山肌にもたれかかるように設置されているので、頭部が斜め後方に傾(かし)いでいて、「だ、大丈夫か」と声が出そうになる。『進撃の巨人』にでてる風なのや、ご住職の手づくりの仏、陽気なポルトガル人像など、個性あふるる巨に出会いたい方は、九州旅行のお供にこの本を! タコ山も滑ってね。(福岡 「ブックオカ」実行委員 高倉美恵さん)

<サンデー毎日 2015年4月26日号より>

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