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毎日のクリニック

腹腔鏡手術、長短所見極めを 事前の説明と理解が重要

腹腔鏡手術の方法

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腹腔鏡を使った手術の様子=東京医科大病院提供

 群馬大医学部付属病院(前橋市)や千葉県がんセンター(千葉市)で、手術後に患者の死亡例が相次いだことから注目を浴びている腹腔鏡(ふくくうきょう)手術。腹腔鏡手術とは、どのような手術なのか。専門家にメリットとデメリットを聞いた。

 ●体に穴開け器具挿入

 体内にカメラを入れて観察する「内視鏡」のうち、横隔膜から骨盤の間の腹腔部分に入れるものが腹腔鏡だ。腹腔鏡を使う手術は、体に1〜1・5センチの小さな穴を開け、そこからカメラや手術器具を入れて実施する。

 手術中は、体内で器具を動かしやすいように腹腔内に炭酸ガスを入れ、膨らませる。手術する臓器によって開ける穴の数は1〜6カ所程度と異なる。目に見えないところでの治療となるため、医師は、挿入したカメラがモニター画面に映し出す手術部位を見ながら、電気メスや臓器をつかむ道具、はさみなどを取り付けた棒状の手術器具を入れ、操作する。今までに1000例以上の腹腔鏡手術を実施した東京医科大病院(東京都新宿区)の土田明彦主任教授(消化器外科・小児外科)は「他の手術と同様に腹腔鏡手術にも利点と欠点がある」と説明する。

 ●術後の癒着大幅減

 最大の利点は、手術の際の傷が小さいため痛みや出血が少なく、術後の回復が早いことだ。また、大きくおなかを切る開腹手術では、切った部分から傷を治す「のり」の役割を果たすたんぱく質「フィブリン」が多量に出て、臓器や傷口を癒着させるが、そのような癒着が大幅に減る。さらに、カメラを使えば、患部を数倍〜10倍程度に拡大してモニターに映し出せるため、血管や神経を傷つけないような細かい作業ができるという。

 一方、患部が入り組んだところにあるなど難しい手術の場合は相当な訓練が必要で、技術の差が出やすい。器具が小さいため、患部を少しずつしか切除できず、開腹手術より時間がかかりやすい。また、モニターに映る部分しか見えないので、他臓器の損傷などを見落とす恐れもある。大出血を起こした場合、開腹手術に切り替えることもまれにあるという。

 医師が実際の手術をするまでには、シミュレーターや動物を使ったトレーニングをする。記者も、東京医科大病院のシミュレーターで胆嚢(たんのう)付近の手術を体験した。二次元の画面を見ながら進めるため、目的の部位までの距離感がつかみにくく、細かい器具の操作は難しく感じた。「経験と技術が必要」との説明が理解できた。

 また、腹腔鏡手術では、医療保険が適用されるものと、そうではないものがある。土田教授によると、進行がんで治療が難しい場合▽摘出する範囲が広い場合▽腹腔鏡で実施することが技術的に難しい場所の手術−−などは、保険適用が制限されていることが多いという。

 ●開腹術と同じ死亡率

 世界初の腹腔鏡手術は、ドイツで1981年に実施された虫垂切除だ。日本では90年、帝京大で胆嚢の摘出手術が初めて行われ、2013年は小腸や大腸、胆嚢、肝臓や膵臓(すいぞう)などの病気で8万1000件以上が実施された。日本外科学会などの調べでは、腹腔鏡手術と開腹手術で全体的な死亡率に差はなかった。ただし、日本肝胆膵外科学会によると、胆管切除を伴う肝臓切除を受けた患者の9・76%が90日以内に死亡するなど、難易度が高い手術には死亡率が高いものもあることが確認された。

 土田教授は「病気の種類や重さによって、腹腔鏡手術が適している場合もあれば、開腹手術が適している場合もある。手術を受ける際は、双方のメリット、デメリットの説明を聞いてから決めることが重要だ」と話す。【藤野基文】

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