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<白川道さんを悼む>人生相談担当、すべての回答に温かみ

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 「原稿、夕方になります」。1週間前、出稿予定の電話をわざわざいただいたのが、白川先生の声を聞いた最後だった。足を悪くされていたのは聞いていた。でも、こんなに早く亡くなられるとは思いもしなかった。

 1945年生まれ。就職した大手電機メーカーを3カ月で辞め、ギャンブルに沈み、バブル景気のときは一転、株の世界で数十億のカネを動かした。人生の栄光と挫折を経験、「無頼派」と呼ばれた。執筆依頼の際、写真で見てコワそうだと緊張して自宅に行ったが、玄関で愛猫を抱えて迎えてもらった。猫をほめたことが、快諾の決め手だったと信じている。

 人生相談は2013年4月、東京本社版の一部地域で始まった。当初のタイトル「天の耳」は自ら考えた。「変わった経歴だからね。『天の声』なんて言えないけど、悩める男女の声は聞けるから『耳』に……」とはにかみつつ解説した。本欄に移って計約80回。感謝の手紙も多く届いた。

 先生は一切、相談にコメントしなかった。どんなに難しい相談であっても。毎回きちんと手書きの回答が来た。それをパソコンに打ち直しながら、先生の心の深みに触れるのが楽しみだった。テレビドラマになった「天国への階段」の作家である。作品には、過酷な運命に振り回されながらも純真を貫く男女が必ずいる。だから、すべての回答に「まっとうに生きるのがいいよ」という温かみがあった。

 親の介護、受験の失敗から不倫、父親の暴言、急太り、セックスレスまで。誰もが悩みを抱えている。他人の悩みを笑うことは決してできない。<私事で恐縮なのですが……>。先生は、自分の過去をさらっと取り出してみせながら、答えてくれた。もうあの回答が読めない。寂しい。【担当記者・滝野隆浩】

    ◇

 白川道さんは16日死去。69歳。

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