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私的本屋賞『New Kyoto 京都おしゃれローカル・ガイド』多屋澄礼・著

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歴史ある町が新鮮に見えてくる

◆『New Kyoto 京都おしゃれローカル・ガイド』多屋澄礼・著(スペースシャワーネットワーク/税抜き1600円)

歴史ある町が新鮮に見えてくる

 4月1日、「ガケ書房」は大文字山の北から南の方へと移転し「ホホホ座」と改名、再スタートを切った。この春には、フリーペーパー専門店「只本屋」、ゲストハウス&カフェバー「Len」がオープンするなど、京都にニュースポットが続々と登場している。そんな新しいお店を取り上げつつ、まっさらな視点で従来の「京都」を新しく切り取ったのが本書である。

 著者は約一年半前、東京から京都へ越してきた。イギリスや北欧の雑貨や洋服を扱う人気雑貨ショップのオーナーであり、音楽ライター、DJ、翻訳家、イラストレーター、雑誌『装苑』のブロガーを務めるなど、多彩な顔を持つ。そんな彼女だからこそ見つけることのできた、京都のお店や施設が約50、彼女自身の文章で紹介されている。

 その文章がよい。海外や東京のまなざしを持ちつつ、文学やファッションなどの知識から引き出された文章は、京都を新しく浮かび上がらせる。

 それは京都にずっといる人の目線では、すくい取れなかった京都だ。移住者である彼女は、旅人としての新しい目を持ち、同時に一見(いちげん)さんでは知り得ない京都を体感している。外からの視点と内からの視点、スタンダードとローカル。一回ではわからないこと、逆に慣れすぎてもわからなくなってしまうこと。その狭間(はざま)でしか立ち現れてこない「京都」がここにはあって、新しい過去と今、“ニューキョート”を携え、また京都を新しく旅してみようと思った。(京都 ホホホ座(元ガケ書房) うめのたかしさん)

<サンデー毎日 2015年5月3日号より>

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