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幸せの学び

<その127> マスコミ受験回想記=城島徹

お祝いを手にする太田孝社長

 35年前の春、日本経済新聞の記者になった友人が今春、関連会社の社長に就任し、マスコミ界に進んだ学友らが集まって栄転を祝う宴を開いた。その彼が1980年の入社前、就職浪人の仲間に「マスコミ受験回想記 私はこうして成功した!?」という書簡を託していた。その秘蔵文書を発掘し、社長就任の祝意を込めて初公開する。

    「まず初めに、あなたはなぜマスコミ(新聞、出版、通信、広告)を目ざしますか。自分なりの考えを持っていないと、成功は難しいでしょう。なぜなら、結局、自分との戦いといえるものだからです。しかし、その考えとは、ミーハーでも良いのです。とにかく、諸々の誘惑に負けない意志を持つことです」

     しょっぱなの口上(前文)からして迫力がある。これを書いのは日経に入社後、金沢支局や東京本社の記者、オーストラリア特派員、産業部長、大阪本社編集局次長、札幌支社長などを歴任し、今春、経済・ビジネス専門チャンネルの「日経CNBC」でトップに立った太田孝新社長(59)だ。

     入社当時は20代前半である。格調高き前文の続きは「ここで受験勉強に際しての心構えを『急がばまわれ』『やったら最後まで』、つまり、異性をくどこうとする気持ちを常に持っていましょう」と軟派路線へと揺れる。それでも脱線せず、「勉強は広く浅く、しかし、自分の興味を発展させるように」と注意点を列挙する。

    「高校の教科書はすべて目を通す」「憲法、重要な法律はよく出るので暗記した方が良い」「作文は一日一回のペースで書く」「自分が志望する新聞社の大事と思った記事、企画はスクラップする」など5項目で、なかなか厳しい注文だ。

     さらにこう続ける。「これを1日でやると、だいたい8時間以上かかります。これに加え、問題を解くと、けっこうな時間がかかります。市販されているマスコミ問題集3冊は2回ほどやった方がいいと思います」。そんなむちゃな、とも思える内容だ。

     そして最後はこう締めくくる。「入社試験はやったことが出ることはまずないと考えた方が良いでしょう。上記の作業は、不正解を見つける作業と考えるべきです。単なる暗記は豊かな果実とはなりません。私はジャーナリストになるという事実は生半可な事実ではないと考えます」

     今の白髪まじりの容姿からはイメージしにくい若き決意だが、この文書に気合を入れられ、翌年記者になったのが私だということも、まぎれもない事実である。【城島徹】

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