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不知火のほとりで

石牟礼道子の世界/24 のさり

 <日曜カルチャー>

彼岸の団欒に似て

 「とてもよかったですね、肇ちゃんの祈りの言葉」

 5月1日、水俣病犠牲者慰霊式が熊本県水俣市の水俣湾埋め立て地で開かれた。水俣病の公式確認から59年。翌日、熊本市の仕事場を訪ねた私に、石牟礼道子さんは開口一番言った。

 「肇ちゃん」とは、水俣病資料館語り部だった杉本栄子さん(2008年に69歳で死去)の長男で自身も語り部の杉本肇さん(54)=水俣市=のことだ。肇さんの祈りの言葉とは次のようなものである。<母さんが去って7年が過ぎました。「私は水俣病にのさったもんな」。あなたがよく口にした言葉です。「のさり」とは天からの授かり物という意味。人を恨まず、人を好きになろうとしたあなたのけなげな姿は、みんな大好きだった。あなたは「国も許す。県も許す。チッソも許す」と言った。なぜ許すのですか。誰も恨まないから、私で終わりにしてほしいと、受け入れ難さを許すことで、悲劇を繰り返さないという約束を取りつけたかったのですね>

 肇さんの言葉を受け、石牟礼さんは親密だった栄子さんをしのぶ。「普通の会話の中で『のさり』という言葉…

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