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平松 洋子・評『それでもボクは会議で闘う』周防正行・著

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言葉を尽くした“戦闘”の記録

◆『それでもボクは会議で闘う ドキュメント刑事司法改革』周防正行・著(岩波書店/税抜き1700円)

 息を詰めて本書に没頭した。私たち個人個人が直面する「危機」を感じてのことだ。

 映画監督である周防さんが刑事裁判の現実を知ったのは、映画「それでもボクはやってない」のための取材を通じてだった。冤罪(えんざい)は、やむなく起こった“悲劇”ではなく、司法制度や組織と深く絡んでいた。その衝撃は、周防さんと刑事司法の世界との関係を抜き差しならないものにしてゆく。本書は、その関わりから生まれた希少な報告である。

 日本弁護士連合会から推薦を受け、一般有識者として委員を受諾したのは、法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」。ほぼ月一回、全三十回。三年にわたって議論を重ね、取りまとめたものを法務大臣に対して答申、国会での審議ののち、法律として成立をみる。メンバーは四十二名。内訳は警察、法務や裁判関係の専門家、学者、一般有識者(著者や厚労省・村木厚子さんを含む七名)。各委員の立場や思惑をふくんで交錯する発言、…

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