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梯 久美子・評『祈りの現場 悲劇と向き合う宗教者との対話』石井光太・著

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生死に寄り添ってこそ発せられる言葉

◆『祈りの現場 悲劇と向き合う宗教者との対話』石井光太・著(サンガ/税抜き1800円)

 祈り、という言葉をメディアで見たり聞いたりすると、反射的に警戒心を持ってしまうところがある。震災後の一時期、新聞でもテレビでもさかんに使われ、どんどん安易な言葉になっていったときのイヤな感じが残っているためだ。

 そんな私が『祈りの現場』と題された本を手に取ったのは、著者が石井光太さんだったからだ。石井さんは3・11後にいちはやく被災地に入り、釜石市の遺体安置所で長い時間を過ごして『遺体』というノンフィクションを書いた。圧倒的なリアリティーで注目され、映画化もされたが、彼は震災を描くずっと前から、一貫して生と死の現場に立ち続けてきた人だ。

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