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<戦後70年談話>首相、前倒しで独自色 過去の談話に縛られず

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 「戦後70年談話」をいつ出すかを慎重に探ってきた安倍晋三首相が、8月初旬に発表する意向を固めた。いずれも8月15日に閣議決定した村山富市首相談話(1995年)や小泉純一郎首相談話(2005年)との手続き的な違いを示すとともに、内容のフリーハンドを確保しようという思惑が透ける。ただ、それだけで国内外からの批判をかわせる保証はない。【田中成之】

     例年8月15日には政府主催の全国戦没者追悼式が東京都内で開かれ、首相が式辞を述べる。首相官邸関係者は、この日と70年談話の発表が重なることを懸念したと明かす。

     今国会の会期を9月27日まで延長したため、70年談話の内容が野党から追及されることも想定される。発表時期を8月15日から前倒しすれば、お盆前後の国会休会中に対策を練ることも可能だ。

     内閣総務官室によると、「首相談話」には閣議決定が必要だが、「首相の談話」は首相の決裁で出すことができる。首相が13年末に靖国神社を参拝した際に出したのは「首相の談話」だった。政府関係者は「党や役所が嫌がっていると『首相の談話』になる。障害がなければ『の』が取れる」と解説する。

     首相は70年談話について「歴史認識は(これまでの談話を)引き継ぐと言っている以上、もう一度書く必要はない」「同じことを言うなら談話を出す必要がない」などの発言を繰り返してきた。

     一方で、首相は4月のアジア・アフリカ会議(バンドン会議)60周年記念首脳会議と、米議会上下両院合同会議での演説で戦後70年に言及しており、政府関係者は「一部の国は批判するかもしれないが、二つの演説は評価され、この問題は決着している」と語った。

    「大事なのは中身」 中韓が注視

     【北京・工藤哲、ソウル米村耕一】中国は安倍晋三首相が実際に戦後70年談話を発表するまで目立った対応をしない方針とみられる。ただ、日本問題の専門家の間では「閣議決定の有無はあくまで手続きの問題。大事なのは談話の中身だ」という指摘が少なくない。

     中国外務省の陸慷報道局長は24日の定例記者会見で「日本の政治指導者が歴史問題でどのような態度を取るか、中国を含むアジアの国の人民の関心を集めている。深刻に侵略の歴史を反省し、実際の行動で信頼を得るべきだ」と従来の主張を繰り返した。一方、政府系シンクタンクの日本研究者は「(日本が)手続きを強調して収めようとすれば、かえって中国側の安倍政権への不信感を強めかねない」と懸念する。

     「植民地支配に対する謝罪と反省」を盛り込むよう強く求めている韓国も談話の内容を注視している。24日の韓国紙・朝鮮日報は「閣議決定でなくても、内容が政府機関や与党に伝達されるのは同じだ」と指摘した。

     首相と韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が22日、東京とソウルで行われた国交正常化50周年記念行事にそれぞれ出席し、韓国でも「雪解けムード」という報道が相次いだ。しかし、23日には元従軍慰安婦の支援団体が「歴史問題の解決が先だ」と声を上げ、日韓の関係改善はなお遠いとの見方は根強い。朝鮮日報は「両国関係が進展するにはまだ不十分な部分がある」との青瓦台(大統領府)関係者の言葉を伝えた。

    村山氏、事前に閣僚根回し 小泉氏、歴史認識違い示す

     村山富市首相(当時)の戦後50年談話は自民、社会、さきがけ3党連立政権の1995年8月15日に閣議決定された。同年6月の国会決議の表現に不満を抱いた村山氏は、閣議に先立ち、野坂浩賢官房長官(同)を通じて自民党の閣僚に周到に根回しした。その経緯を野坂氏は著書で、反対する閣僚は「即刻罷免するつもりでいた」と明かしている。実際には閣議で異論は出なかったとされる。

     しかし、自民党内で村山談話への反発は根強く、2005年に小泉純一郎首相(同)が戦後60年談話を出す際には「首相の個人的見解で十分」という意見も。談話を閣議決定したことについて、当時の細田博之官房長官は記者会見で「再度しっかりとした談話を出したいという趣旨で決定した」と説明した。ただ、小泉氏は村山談話に盛り込まれた「国策を誤り」などの表現を使わず、村山氏との歴史認識の違いもにじませた。【青木純】

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