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平松 洋子・評『ナンシー関 原寸大!生ハンコ集』ナンシー関・著

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底なしの好奇心が掘り当てた「真実」

◆『ナンシー関 原寸大! 生ハンコ集』ナンシー関・著 町山広美/監修(ワニ・プラス/税抜き1852円)

 ナンシー関さんが遺(のこ)した消しゴムの存在を、時々思うことがあった。彫りに彫った数多(あまた)のハンコ作品は、今どうしているのだろう。きっと、どなたかの手元に大切に保管されているのだろう、などと。

 部外者の私がそんなふうに思うのは、かつてナンシーさんに生ハンコを見せてもらった日の記憶が鮮烈だったからだ。あれは九十年代の終わりごろで、広告物の製作を手伝ったときのこと。ナンシーさんがハンコを彫ってくださることになり、私鉄沿線のご自宅へ打ち合わせをしに出向いた。アートディレクターと私が伺うと、リビングルームに置いてある大小のテレビが、まず目に飛び込んできた。あの空前絶後の文章はこれらのテレビを観…

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