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小玉 節郎・評『悪女は自殺しない』ネレ・ノイハウス/著

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冴えたコンビの活躍と読み応えある物語の妙

◆『悪女は自殺しない』ネレ・ノイハウス/著 酒寄進一/訳(創元推理文庫/税抜き1200円)

 この「悪女」は、彼女を知る周囲の人すべてが忌み嫌っているという存在。つまり、誰もが「殺せるものなら殺したいぐらい」なのだ。多重の嫉妬、犯罪組織内の確執、社会的地位のある者への脅迫、富裕な暮らしの裏に潜む汚い仕事にからむ女。捜査対象は多く、問題は山積み。それを男女の「なかなか素敵(すてき)な」コンビが一つ一つ解決していく。熟成した書きぶりで、読み始めてすぐ夢中になって「これは!」と感じた。

 「ドイツミステリの女王」の人気シリーズ第一弾。先に二作・三作目が訳されて出ている(納得がいかないけれど、こういうことは多い)。楽しめればどこの国の作品でもかまわないが、主人公が「オリヴァー・フォン・ボーデンシュタイン」という名前で、ああドイツだと思う。ドイツ人には「フォン」で貴族の出だとわかるのだそうだ。登場人物の一覧ページに、慣れないドイツ人の名前が二十五人分。カタカナ名前に弱い人は、これで諦…

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