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feat.瀧波ユカリ/162 クオータ制導入すべきか

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 今回は、男女共同参画を進めるために「クオータ制(割当制)」を義務化することが是か否かを議論したいと思います。私は積極的なクオータ賛成派です。

 近年、政府は男女共同参画のためのさまざまな施策を拡大しており、その目玉の一つとして、2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする目標を掲げています。

 指導的地位とは、国会議員、課長以上の管理職、医師・研究者などの専門職を想定しています。そして、現在は国会議員が衆参合わせて10%程度、企業の管理職が同じく10%となっており、目標値の30%にはほど遠い状況です。

 もちろん、自然増は続いており、いつかは30%になるでしょう。しかし、現状ではその見込みはまったく立っておらず、まして、20年の実現はほぼ不可能と考えます。

 この割合を一時的に加速させるための制度が「クオータ制」です。たとえば、フランス、ポルトガル、スペインなどは、国会議員の候補者や議席数に一定の割合を女性に割り当てています。

 地域の不公平を是正するため、国会議員は地方ごとに定数が割り当てられています。同様に、性別にも割り当ててしまうのです。なぜなら、人口は女性が多いにもかかわらず、議員数がはるかに男性の方が多いと、政策がどうしても男性寄りになる傾向があり、男女ともに結果的に不利益を被ることになるのです。

 企業の管理職も同様です。顧客や従業員の半数が女性なのに男性ばかりでは、市場で受け入れられる競争力ある製品が生まれにくくなるし、企業内での女性の活躍も阻害される恐れがあるからです。

 このクオータ制に関しては、能力の無い女性を無理やりポジションにつけるとかえって会社の経営や政治がゆがむだろうと、反対する人も少なくありません。実際、上場企業の40%以上の取締役を女性にすることを義務づけたノルウェーは、当初、混乱しました。

 しかし、その後の調査で女性が経営に参画している企業ほど経営状況が良いということがノルウェーやフィンランドで明らかになり、反対意見は薄らいでいきました。私は、日本でも同じように当初は混乱しますが、中長期的には落ち着いて業績が上がると考えています。

 とはいえ、クオータ制は自由競争をゆがめる可能性があるため、経過措置として導入し、十分な成果と落ち着きが生まれた段階で、少しずつ解除していくことが望ましいと考えます。

 クオータ制を日本で導入すべきかどうか、導入する場合、どのような注意が必要か、なぜ、クオータ制を認めようとしない人たちがいるのか、ご意見をいただけると幸いです。(経済評論家)

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