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「イスラム教徒が9割を占めるパレスチナで、無添加の地ビールを造る」
「夢」を書いているのではない。それを成し遂げた起業家がいるのだ。
パレスチナ人のナディム・フーリーさん(55)。イスラエルが占領するヨルダン川西岸パレスチナ自治区のタイベ村に生まれ育ち、1994年、親戚と共にビール製造会社「タイベ酒造」を起こした。「タイベ」はアラビア語で「おいしい」の意味。創業から今年で21年。政治に翻弄(ほんろう)され、売り上げがガタ落ちしたこともあったが、粘り強い努力でその販路を日本にまで拡大している。
西岸のパレスチナ自治区は、イスラエルによって周囲を分離壁でぐるりと囲まれ、人と物の出入りを厳しく管理されている。治安情勢次第では、検問所も閉鎖される。しかもパレスチナはイスラム社会で、飲酒はご法度。そんな中でのビール造り。いったいなぜ、どうしてそんなビジネスが成長できたのか。
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筆者
大治朋子
1989年入社。サンデー毎日、社会部、ワシントン特派員、エルサレム特派員などを経て現職。英オックスフォード大学ロイタージャーナリズム研究所元客員研究員。2017年から2年間休職し、イスラエル・ヘルツェリア(IDC)学際研究所大学院(テロ対策&国土安全保障論、サイバーセキュリティ専攻)修了、テルアビブ大学大学院(危機・トラウマ学)修了。防衛庁(当時)による個人情報不正収集・使用に関するスクープで02、03年度新聞協会賞を連続受賞。10年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。単著に「勝てないアメリカー『対テロ戦争』の日常」(岩波新書)、「アメリカ・メディア・ウォーズジャーナリズムの現在地」(講談社現代新書)。最新刊に過激化のプロセスを解き明かした「歪んだ正義『普通の人』がなぜ過激化するのか」(毎日新聞出版)。