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小玉 節郎・評『ゲルマニア』ハラルト・ギルバース/著

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捜査と引き換えの命 生き延びられるのか?

◆『ゲルマニア』ハラルト・ギルバース/著 酒寄進一/訳(集英社文庫/税抜き1100円)

 初めから終わりまで緊張の緩むことがないミステリー。酒寄進一訳のドイツ物を連続で紹介することになってしまった。いい作品は巧(うま)い翻訳者に訳してもらうはずだ、というのが私の持論なので、読む前から期待していた。期待たがわず、どころか、圧倒的に面白い。

 緊張が緩まない理由の一つは主人公の元刑事がユダヤ人であること。それが、1944年5月のベルリンとなれば、もう収容所送りになったユダヤ人がいる時点だとわかる。どうしてこの人は「まだ」ベルリンにいられるのかには理由がある(書かない)。そして、その元刑事に殺人事件の捜査を依頼してきたのが、ナチス親衛隊の大尉であることだ。最初に「あ、ついに収容所送りか!」と思う主人公。大尉としては、捜査への協力依頼とは…

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