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皆が口を閉ざした歴史を、ここに書き残す
◆『満映とわたし』岸富美子・石井妙子/著(文藝春秋/税抜き1600円)
昭和史、特に戦争について調べていると、もっとも損をしたのは、大正生まれの人たちだったと思えてくる。終戦のとき20歳から35歳だったかれらは、青春期から青年期を、戦争のまっただ中で過ごさなければならなかった。
男性は徴兵され、兵士あるいは将校として多くが死んでいった。独身のまま、あるいは若い妻や幼い子を残して。女性もまた、恋愛、結婚、子育てと、女として一番充実するはずの時代を戦争に奪われた。思わぬ運命の変転をたどらざるを得なかった人も多い。
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