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サンデー毎日発

国公私立157大学最新難易度 理高文低から理低文高へ 「就職、立地」も人気を左右

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 今春の入試では、文系人気の復活、新課程によるセンター試験での得点調整などさまざまな異変があった。来季は東大の推薦入試、京大の特色入試などが一般入試にも大きな影響を与えそうだ。新課程2年目となる来年入試はどうなっていくのか。3大模試の難易度データから探った。

     今年、数学と理科で始まった新課程入試は、来年、いよいよ全科目が新課程に切り替わる。数学と理科を除けば、内容は大きく変わるわけではないが、浪人生への移行措置は設けられない。新課程と旧課程の違いは、旧課程はゆとり教育のカリキュラムだったのに対し、新課程は脱ゆとりを目指し学ぶ範囲が広がっていることだ。予備校関係者がこう話す。

    「2浪以上の多浪生は、浪人生への経過措置がなくなって不利になるため、多くの受験生は今年入学してしまいました。来年入試は現役生と1浪生の戦いになりそうです」

     それにしても、今年の新課程元年入試は大混乱だった。数学の平均点が下がり、理科ではセンター試験史上2度目となる得点調整が行われ、新課程の物理、化学、生物などの平均点がアップした。浪人生が受験した旧課程の理科の平均点より、はるかに低かったからだ。ベネッセ教育総合研究所の高等教育研究室チーフコンサルタントの村山和生さんが言う。

    「来年は全教科・科目が新課程入試となりますが、今年のような混乱はないと思います。平均点についても極端に上がるとか、下がるとか期待しない方がいいでしょう」

     今年はセンター試験の難化から、国公立大人気といわれる中で、志願者は3・5%の減少となった。特に理系学部は軒並み志願者が減少した。河合塾教育情報部チーフの富沢弘和さんがこう話す。

    「国公立大人気は落ち着いてきているので、来年は志願者が大きく増えることはないでしょう。その一方で、私立大は増えそうです」

     そんな中で、来季の国立大入試で台風の目となりそうなのが、京大・法だ。京大は来年から全学部で特色入試を実施し、学力型AO入試と推薦入試をほとんどの学部で実施する。ところが、法は後期日程でセンター試験の成績と小論文で選抜する入試を実施するのだ。東大も推薦入試を実施することで後期が廃止となるが、結果的に京大・法が新たに後期入試を実施することになる。この後期試験の人気が高く、大激戦になりそうなのだ。予備校関係者がこう話す。

    「合格するのは前期で東大や京大を受けて落ちた層でしょうが、志願者は相当な数になると見られます」

     京大・法の後期は、河合塾、駿台予備学校、ベネッセコーポレーション進研模試の3大模試いずれでも、難易度は前期より高くなっている。また、東大が後期を廃止するため、東京工業大、一橋大の後期志願者が激増する可能性が高い。今年も東京工業大・7類後期の倍率は20.1倍、一橋大・経済後期は14.3倍など、前期よりはるかに高かった。後期は要注意だろう。

     国公立大の志願者数は、センター試験の難易に左右される部分が大きい。ただ、景気が回復してきていることもあって、何が何でも国公立大とはなっていないという。センター試験での科目負担が大きいことがマイナスに働き、3科目型の私立大の人気が上がっていると見られる。

     また、今年の入試の大きな動きは、学部人気が一変したことだ。これまでの理系の人気が高く、文系の人気が低い“理高文低”に終止符が打たれた。代わって真逆の“理低文高”となり、文系人気がアップした。河合塾の富沢さんがこう話す。

    「文系人気は来年も続きそうです。法、経済、経営、商など社会科学系学部の人気がアップしています。景気回復で文系の就職率が改善されたことが、人気の理由です。一方、理系は人気が下がっており、リケジョ(理科系女子)が減少しています」

     本誌と大学通信が調査している今年の就職状況を見ても、文系の就職率改善は明らかだ。実就職率(就職者数÷〈卒業生数−大学院進学者数〉×100)で比較すると、法は2014年は77%だったが、今年は80.7%にアップ。同様に文・人文・外国語76.4%→80.7%、経済80.7%→83.9%、商・経営81.7%→84.8%、国際系78.5%→82.6%など、昨年に比べてどの学部系統も4ポイント近くかそれ以上に伸びている。

    受験生の地元志向で看護系学部の株上昇

     表を見てほしい。これは3大模試すべてで難易度がアップした大学・学部、ダウンした大学・学部を一覧にしたものだ。アップしたところには文系学部が多いことが分かる。私立大では東京経済大・経済、経営、コミュニケーションの3学部だけが難易度アップだ。

     一方、人気だというのに、ダウンの欄に一橋大・経済が出てくる。駿台予備学校の進学情報センターセンター長の石原賢一さんに理由を聞いた。

    「今年(来年受験)の上位の受験生は強気です。それは入試が落ち着いたからで、新課程のような混乱はないからです。経済系トップの東大・文2、一橋大・経済、京大・経済では志望者が増えています。ただ、本来一橋大・経済を目指す層が、強気で東大・文2を狙っているため一橋の難易度がダウンしているだけです。今後、志望変更から一橋大・経済の難易度は、上がる可能性が高いと見ています」

     その他の文系学部で注目されるのが国際系だ。就職率が昨年より4・1ポイントもアップし、グローバル時代到来で文科省も大学のグローバル化に力を入れている。スーパーグローバル大学創成支援事業で、採択された大学には多額の補助金を交付している。ベネッセの村山さんがこう話す。

    「国際、語学系の志望者は増えていますが、大切なのは入学後、どのような学びがあるかを見極めることです。留学が必修、すべて英語で授業など、内容が各大学で異なりますから、研究しておかないと、入学後、思っていたのと違うことにもなりかねません」

     来年も国際系では、千葉大・国際教養、学習院大・国際社会科、近畿大・国際などが新設予定で、受験生の選択肢は広がる。

     では、人気が頭打ちの理系はどうなのだろうか。就職面が悪いのかというとそんなことはない。文系と同じように見ていくと、農84.1%→86.8%、薬82.6%→79.7%、看護・保健・医療系91.6%→91.8%、理工系85.7%→89.3%だ。薬を除いて、実就職率はいずれも文系を上回っているが、伸び幅が文系ほど大きくない。

     この実就職率を見るとはっきりするが、今年の入試で最も志願者が増えたのが看護系で、逆に最も減ったのが薬学部だった。今まで好調だった資格が取得できる学部で明暗が分かれた。河合塾の富沢さんはこう見る。

    「国家試験の合格率の差もあります。薬学部は低く、看護は高いからです。6年学んで薬剤師になれないと思うと、やはり受験生は敬遠します。看護系は毎年、新設されていることもあり、志願者は分散傾向で、競争が緩和されたところも出てきているのが人気の一端かもしれません」

     今年の国家試験の合格率を見ると、薬剤師は63.2%(新卒に限れば72.7%、以下同じ)、看護師90.0%(95.5%)だった。ちなみに他の国家試験では、医師が91.2%(94.5%)、歯科医師63.8%(73.0%)で、人材の不足している看護、医の合格率が高いことが分かる。合格率が高い学部ほど、志願者も多くなっている。

     看護は現在200を超える大学に設置されており、日本最多の学科となった。予備校の関係者がこう話す。

    「資格が取得できるだけではありません。近年の受験生の地元大学への進学志向は強く、47都道府県に設置されている看護はそういった面からも人気です」

    新方式の試験導入で、志願者動向に変化も

     地元志向は大都市圏では、キャンパスの都心回帰につながる。アクセスの良い大学の人気が高い。ベネッセの村山さんが言う。

    「首都圏では埼玉にあった東京理科大の経営が都心の神楽坂キャンパスに移転することで志望者が増えていますし、青山学院大の文系学部も4年間青山キャンパスで学べることから人気が継続しています。関西でも今年新設された立命館大の大阪いばらきキャンパスに来年、総合心理学部が新設予定ですが、人気の心理ということに加えて、アクセスの良さで志望者が集まっています」

     受験生数は、ピークだった1992年には121万人もいた。ところが、近年は18歳人口が121万人を下回っている。少子化が進めば、大学にはますます入りやすくなる。難易度は全体としては下がり気味で、受験生にとっては朗報だ。次ページからの難易度の表を活用して、最適な大学・学部を選んでほしい。【大学通信・安田賢治】

    *サンデー毎日8月16日号の特集記事から抜粋。国公立・私立157大学の最新難易度の表などは実際の誌面で確認してください。

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