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平松 洋子・評『わたしの土地から大地へ』イザベル・フランク/著

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写真家サルガドの個人史を追う

◆『わたしの土地から大地へ』セバスチャン・サルガド、イザベル・フランク/著 中野勉/訳(河出書房新社/税抜き2400円)

 公開中の映画『セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター』は、ヴィム・ヴェンダースのドキュメンタリー作品だ。ヴェンダースのドキュメンタリー過去二作のテーマは、キューバ音楽のバンド「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」、舞踏家ピナ・バウシュ。三作目が写真家サルガドと知ったとき、なるほどと感嘆したものだ。世界中の誰もが知りたい相手に照準を合わせるヴェンダースの手腕に、納得させられた。

 本書は、そのサルガドの語りによって構成された一冊である。世界的写真家としてつとに名声の高いサルガドは、世界の飢餓や貧困、戦乱、過酷な労働、第三世界の状況などを撮影し続けてきた。実際、写真集『人間の大地 労働』『エクソダス』は、サルガドの写真の持つ高い精神性を示唆するものだ。本書の聞き手であるジャーナリストの著者は記す、サルガドの写真を見ることは「人間の尊厳を体験するということ」。たしかに、神の視…

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