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阿武 秀子・評『中野京子と読み解く 名画の謎 対決篇』中野京子・著

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目に見えるもの以上の何かを感じとってこその名画

◆『中野京子と読み解く 名画の謎 対決篇』中野京子・著(文藝春秋/税抜き1650円)

  私たちはふだん見たいものや見るべきものだけを見て、必要な情報を取り出して認識している。選(え)り分けは、ほとんど意識されずに瞬時に行われる。例えば机の上に置かれているものをすべて気にしていたら、おそらく仕事も勉強もはかどらないだろう。

 一方で、旅に出て知らない土地を訪れたようなときには感覚が鋭敏に働く。意識する以前にすでに五感が新しいものを受けとめていて、さまざまな光景や印象が鮮明に記憶に刻み込まれる。脳科学者の茂木健一郎さんがよく言う「視覚的アウェアネス」に当たるだろうか。視野の中に何かがあると気づいていても、注意を向けて言葉にしないと概念化されないが、旅では日常とは異なる気づきが生まれる。

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