
今回のテーマは「児童ポルノ規制のあり方」です。
日本は児童ポルノについて、先進国の中で寛容だとされてきました。単純所持が禁止されたのは2014年と、主要7カ国(G7)の中では最も遅い国となりました。また、児童の定義も、法的には18歳未満ですが、一部では学齢児童である13歳未満との勘違いもあるくらいです。
そして、日本では18歳未満のアイドルグループによる小さなビキニの水着姿や、下着姿などが披露され、「性的なポーズを取っていない」という理由で児童ポルノから外されているようです。しかし、小中学生3人に露出の多い水着を着せた「着(ちゃく)エロ」と呼ばれるDVDを販売した容疑で業者が逮捕されました。街中で18歳未満のビキニ姿のポスターなどがあることをどう考えればいいのでしょうか?
さらに議論を難しくするのが、だからといって、日本は性犯罪が多い国かというと、必ずしもそうではないことです。もともと、児童ポルノ規制を厳しくすることが、性犯罪の予防になるか、確証は得られていません。
また、あまりにも規制を厳しくしすぎると、今度は表現の自由とのバランスが問題になります。あからさまに犯罪的な表現であれば、規制は当然ですが、グレーゾーンのものを、政府や警察が取り締まることで、必要以上の権力を与えて乱用される恐れもありますし、クリエーターが萎縮してしまうでしょう。
一方、児童ポルノの規制は、まだ判断基準をもたない児童が成人に利用されることで、人権を阻害され、あるいは、後々にそのことを後悔して心の傷になることを避けるために考えられたものです。この論点から言いますと、性犯罪の防止という観点より、児童の人権保護から、私はもう少し厳しめにすべきであると考えます。
今回の提案は「児童ポルノについて、グレーゾーンをもう少し狭め、性的なイメージであっても、見えなければいいという文化について見直すべきでないか」ということです。18歳未満の児童、これは男女を問わず、性的なものを連想させる露出度の高いものが商業流通していることに「違和感」を持つ人たちがいるということを共有したいのです。
いまは「13歳未満は下着、きわどい水着はダメ、しかし、13〜18歳未満なら、実際に見えなければそこそこOK、18歳以上ならなんでもOK」という解釈が一般的だと考えていますが、それが児童の人権を守るために正しいのか、再考したいと思います。
18歳未満の児童の性的にぎりぎりなコンテンツのニーズがあり、大人の利権につながる。しかも、児童当人たちも、それが人気になるのなら了承してしまうということはあるでしょう。しかし、それが行きすぎて、児童の人権が阻害され、意思決定がゆがむことを懸念しています。
ここで、見ている方が「おかしい」という声を上げていくことが、法律を徹底させるのではないでしょうか?
いずれにしても、児童ポルノ規制についてはいろいろな意見があると思いますので、ぜひ、私の意見に賛成か反対か理由とともにコメントいただけると幸いです。また、もし、代替案がある方は、教えてください。(経済評論家)
ご意見を受け付けています。どなたでも投稿できます。13日までの投稿の中から勝間さんが選んだご意見を、次回21日にご紹介します。ふるってご投稿ください。スマートフォン、タブレットでも閲覧・投稿ができます。全投稿者の中から1テーマにつき1人に図書カードを進呈します。