
LGBT(性的少数者)に関し、その言葉の認知度を高め、より寛容な社会にしていくための提案を求めました。これに対し、投稿はいつもより複雑な内容となりました。
投稿の呼びかけに対し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などではLGBTに批判的な意見が多く見られましたが、それを毎日新聞のサイトに投稿する人はいませんでした。
一方、サイトのコメント欄には当事者からの投稿も含めて、悩みや求められる支援内容が集まり、まるでその様相は現実世界と同じく、批判的なサイレント・マジョリティー(沈黙の多数派)と、悩む当事者という構図を映しているように感じました。このような流れから、LGBTについて取り上げ、少しでも多くの人が見て、考えるところから始まるとうれしいです。
差別につながる根幹は、やはり「知らないこと」にあるのではないでしょうか。Yuuka Yoshidaさんは、戸籍の性別を男性から女性に変更した当事者ですが、無意識に差別されているかのような表現に取り囲まれており、さらに、LGBTが利用しやすいサービスが少ないことを挙げています。内田宗幸さんも、「さまざまな人がいるのだ」ということを認め合うことからスタートしようと呼びかけました。
Watanabe Rieさんは、海外の例を挙げながらLGBTに寛容な社会は、無理にジェンダーらしさを発揮することなく、それぞれがそれぞれの「らしさ」を追求できるので、とても生きやすい世界になる可能性があることを指摘しています。少子化の問題も、養子の形で解決できるのではとコメントしました。
uc2000さんも、LGBTの方を受け入れるということは多様な価値観の解放になり、当事者たちも楽になるし、社会全体のビジネスチャンスも広がる可能性を指摘しています。
だからといって、リスクがないわけではありません。リリエンタールさんは、性的少数派の権利を守ることは重要だが、例えば、男性は女性ホルモンの取り扱いなどは慎重に行わないと生殖機能に支障が出ることがあり、個人輸入などで安易に使ってしまう傾向には警鐘を鳴らしています。じゅんさんは、アイデンティティーが揺れているときにLGBTの概念を知ることで、自分の性別について誤った認識をする可能性を懸念しています。
ベストアンサーには、「専業主夫」である大作竹中さんの提案を選びます。竹中さんが専業主夫になった当初、さまざまな職業欄やアンケート欄に「専業主夫」がないことに違和感があり、主婦の「婦」を「夫」に書き換えたり、「その他」の欄に書き入れたりしたそうです。そうした活動もあって最近は専業主夫も社会の認知が進んできたことを引き合いに出し、いろいろな人のアンケートや申込用紙に男性、女性のほかにLGBTの欄を作ることを提案しました。
LGBTに寛容な社会は、LGBTの人だけでなく、当事者以外の人たちの多様性も認められて楽になれます。さらに、さまざまな人向けのサービスが充実することでビジネスチャンスも広がります。まずは、言葉を知ってもらい、その人たちが身近な存在であること、そして自分で何ができるかをプライベートでも、ビジネスでも、配慮することが多様性に配慮した未来につながると考えます。
ぜひ、この記事を読んだ方は、周りの方に「LGBTという言葉を知っている?」と問いかけてみてください。
(経済評論家)
日本ではLGBT(性的少数者)という言葉の認知度は低く、ネット調査によると3人に1人しか知らなかった。最近は明確な差別はなくなってきたが、LGBTのことを理解していないと知らず知らずに相手を傷つける言動を取ってしまうことがある。LGBTの人たちがいて当たり前の社会を作るにはどうすればよいか。