連載をフォロー 漫画で解説 どうなる国立大文系の巻 2015年12月14日 09時52分(最終更新 12月14日 09時52分) 大臣 大学院 大学 教育 文科省の通達で大騒ぎ 33大学が組織の見直しを計画 [PR] 国立大学の文系学部が見直されることになりました。一時は、文部科学省の通達に文系学部の廃止や転換が明記され、大騒ぎになりました。なぜ、こんなことに? 2015年6月、文科省は全国86校の国立大学に対し、文系学部などの廃止や組織改革を進めるように通知を出しました。これに対して「文系軽視だ」と大きな議論になったのです。 国立大学や学術界からは、「短期の成果を上げることに性急になりすぎていないか」と文科省を批判する声が相次ぎました。 産業界も同様で、経団連は、「人文社会科学を含む幅広い教育の重要性」を求めていると主張しました。 文科省には、少子化と財政難から、税金を社会的要請の高い分野に重点的に配分したい狙いがあったようです。しかし、反発を受けた文科省はミスを認め、下村博文文科相(当時)も、「廃止ではなく見直しを求めたもので、誤解を与えた」と釈明しました。下村氏から引き継いだ元教師の馳浩文科相は、「通知について、国語の教員なら32点しかつけられない」とコメントしました。 文科相の交代もあり、通知の騒ぎは収まりましたが、国立大学の改革は実際に進んでいます。 国立大学で16年度以降に人文社会科学系の学部・大学院の組織見直しを計画しているのは33大学あります。このうち、9大学が組織の廃止を予定。対象は教員養成系学部の中で教員免許の取得を卒業条件としない、いわゆる「ゼロ免課程」と呼ばれるものです。 人文社会科学系学部は国際化と地域をキーワードに再編を考えているようです。 例えば千葉大は国立大学初の国際教養学部を新設し、留学やフィールドワークといった活動を義務付けています。 こんな騒ぎが起きると、どうも理系が安泰のように見えますが、実はそうでもありません。 04年の法人化以降、国立大学では「競争的資金」の割合が高まり、研究費を平等に配分する資金は減り続けているのです。ノーベル化学賞を受賞した筑波大名誉教授の白川英樹さんは、「大きなプロジェクトに資金が割り当てられる比重が大きく、基礎研究に取り組む若手研究者には十分行き渡っていません」と理系の現状を指摘しています。 文系の学問で学べる批判力や洞察力は、さまざまな分野につながります。文系と理系、どちらも学問として大切なことには変わりありませんね。 特に、国際ジャーナリストを目指す火達磨くんのような学生には。 文字サイズ 印刷 連載をフォロー 漫画で解説 前の記事 12月14日は忠臣蔵!の巻 次の記事 トルコはなぜ親日?の巻 関連記事 「大学」と「大学校」の違い 海外の大学へ進むには 大学を中退すると…の巻