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社説

給付金3万円 矛盾の多いばらまきだ

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 政府は低所得の年金受給者約1250万人に対し、来年度1人あたり3万円を配ると決めた。今年度補正予算案と来年度予算案に盛り込む。

     財政難の中、給付に約3900億円を投じる。だが、それに見合う景気底上げ効果があるかは疑問だ。また、政府は「子育て支援」を打ち出している。なぜ対象を年金受給者に限るのか説明がつかない。

     さらに、政府は2017年4月の消費税率10%時に低年金者の痛税感を軽くする対策として給付を始める予定だった。「前倒しの臨時給付金」と説明するが、狙いは全く違う。政策が矛盾だらけではないか。

     昨年4月の消費増税後、消費は振るわない。円安に伴う食料品などの価格上昇も家計を圧迫している。

     政府は今年2月にも、商品券などに使える自治体向け交付金(2500億円)を柱とした14年度補正予算を成立させた。

     だが、7〜9月期の国内総生産(GDP)改定値も個人消費の伸び率は下方修正された。エコノミストの間では「商品券と同様に給付金も効果は限定的」との見方が強い。

     効果のはっきりしない目先の景気対策よりも、人口減対策の充実などに取り組み、息の長い経済成長を目指すべきだ。安倍晋三首相は「1億総活躍社会」を掲げ、人口1億人維持を目標にしているはずだ。

     政府は「アベノミクスによる賃上げ効果が及ばない低年金者に対策が必要」とも説明する。だが、生活が苦しいのは年金受給者に限らない。

     賃上げは大企業の正社員中心で、賃金の低い非正規雇用者には十分及んでいない。非正規雇用者は全体の4割を占める。若年層や子育て世代に多く、家計は厳しい。

     首相はアベノミクス新三本の矢として「子育て支援」などを挙げた。政府は今年度補正予算案に保育所整備として約500億円を計上する。

     限られた財源の中から子育て支援に力を注ぐのなら、もっと手厚く配分し対策を加速すべきではないか。同じ低所得層でも年金受給者だけに給付するのは政策の一貫性を欠く。

     給付の対象は、65歳以上で年金などの収入が年155万円程度までの約1100万人と、障害・遺族基礎年金の受給者約150万人だ。

     政府は17年4月の消費増税時から低年金者に年6万円を配ることにしている。ただ、その対象は年収87万円程度までの約600万人と障害・遺族基礎年金の受給者だけだ。増税に伴う低年金者対策という社会保障政策とされているためだ。

     しかし、今回は給付対象が大きく拡大し、政策の狙いも全く異なる。来年の参院選目当てのばらまきとみられても仕方がない。

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