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三浦雅士・評 『絢爛たる悲惨−ドイツ・ユダヤ思想の光と影』=徳永恂・著

 (作品社・3024円)

 著者はドイツ現代思想史研究の第一人者。本書はジンメル、アドルノ、ベンヤミン、ライヒ、フロイト、アーレント、そしてヴェーバー、ハイデガーらを論じた文章を集めたものだが、小説のように面白い。論理の展開のすべてに自身の体験が密着し、いわば思想が生きられているからである。対象はすべてユダヤ系の思想家。例外はヴェーバーとハイデガーだが、それも反ユダヤ主義との関連において。ユダヤ問題が彼らの思想の本質にかかわっているのだ。

 なぜユダヤなのか。著者は冒頭のエッセイで、祖父が「熊本バンド」の一員であり、徳富蘇峰、蘆花がその従兄弟(いとこ)であったことを明かしている。クリスチャンだったわけだ。だが、だからといってユダヤに関心を持ったわけではない。著者は熊本の旧制五高出身だが、家族が住んでいたために原爆投下二日後の長崎に入っている。その惨状を見たことが、あるいは素地になったかもしれないという。三十歳を超えてドイツに留学した…

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